@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009957, author = {岩崎, 友洋}, issue = {7}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Jul}, note = {大腸がんは日本において急速に増加してきている. 大腸がんの発症・進展にApc, DCC, K-ras, p53などの関与が報告されているが, いまだ不明な点は多い. Bcl11bはヒト14番染色体長腕に位置し, マウス胸腺リンパ腫でハプロ不全型がん抑制遺伝子として機能するとともにTリンパ球の分化に関与していることが示されている. ヒト大腸がんでBcl11b遺伝子座近傍に高頻度に対立遺伝子欠損を認めることやヒト大腸がんの全ゲノムシークエンス解析においてBcl11b変異の存在することが報告されており, Bcl11bが大腸がんの発症に関与している可能性があると考え, Bcl11b^<+/->マウスとMinマウス (Apc^) を使った腸管発がん実験を行った. またマウス腸管とヒト大腸でのBcl11bの発現も調べた. Bcl11b^<+/->マウスとApc^マウスからBcl11b^<+/->/Apc^マウスとBcl11b^<+/+>/Apc^マウスを作製し, 両マウスの小腸腫瘍数と腫瘍サイズを調べ, 腫瘍部におけるBcl11b領域のLOH解析を行った. 結果は, Bcl11b^<+/+>/Apc^マウスに比べBcl11b^<+/->/Apc^マウスで腫瘍数が有意に増加し, 腫瘍サイズは増大傾向であった. 腫瘍部でのBcl11b領域のLOH解析では, Bcl11b^<+/+>/Apc^マウスの腫瘍部ではBcl11b野生型アリルが40% (8/20) の頻度でみられたが, Bcl11b^<+/->/Apc^マウスの腫瘍部ではBcl11b野生型アリルの欠失は認めなかった. これらの結果から, Bcl11bはMinマウスの腸管腫瘍の発症を促進させるハプロ不全型がん抑制遺伝子であることが示された. その機序は不明であるが, Ape^<+/+>マウスでは腸管腫瘍の形成はなく, Apc^マウスで腸管腫瘍の発生を促進していることから, Wnt/βカテニン系シグナルとの関与が示唆される. 一方, 腸管でのBcl11bの発現を調べてみると, マウス小腸ではBcl11bは陰窩内に存在する細胞の核内に強い発現がみられ, 繊毛に達すると小腸腔に近づくにつれその発現は減弱していた. 陰窩内には幹細胞や transit amplifying (TA) 細胞といった未分化な細胞が位置しており, その未分化性の維持にはWnt/βカテニン系シグナルが重要な役割を果たしていることが知られている. Bcl11bはβカテニンと同様に陰窩下部の細胞核内に強発現しており, Bcl11bはWnt/βカテニン系に関与して幹細胞やTA細胞の未分化性の維持, つまりは腸管上皮細胞の分化に関与している可能性がある. 以上より, Bcl11bはWnt/βカテニン系と関連して腸管腫瘍の発症や腸管上皮の分化に関与している可能性が示唆された.}, pages = {353--362}, title = {Bcl11bはMinマウスの腸管腫瘍の発症を促進させるハプロ不全型癌抑制遺伝子である}, volume = {125}, year = {2011} }