@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009883, author = {西山, 勉}, issue = {11}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Nov}, note = {アンドロゲンとアンドロゲン受容体 (AR) は前立腺癌の増悪に関与している. 1941年にHugginsとHodgesが前立腺癌に対する両側精巣摘除またはエストロゲンによる治療の有効性を報告して以来, アンドロゲン抑制療法 (APT) は, 約70年間, 進行前立腺癌に対する主要な治療オプションとして用いられてきた. しかし, ADTを行った進行前立腺癌の大部分が再燃し, 不治の去勢抵抗性前立腺癌 (CRPC) となる. 悪性度の高い前立腺癌患者の前立腺組織内DHTレベルは悪性度の低い前立腺癌のそれに比較して低値であることが分かった. ADT下の血清テストステロンレベルは, まだはっきりとは確立していない. 去勢とフルタミドによるADT後, 前立腺内DHTレベルは, 同一患者群でADT前の約25%残存していた. 悪性度が低くDHT依存性の高い前立腺癌が生存できない低DHT環境下で悪性度の高い前立腺癌は存在できる. 前立腺内で産生されたアンドロゲンは, 前立腺癌の増殖機序に重要な役割を演ずる. 従来行ってきたADTは悪性度の高い前立腺癌の増殖を抑制するのに十分な程度には前立腺内DHTレベルを低下させることが出来ない. ADT後に増悪した前立腺癌の研究から, 血液中のアンドロゲンレベルが低値でも, ARシグナルが前立腺癌の増悪に重要な役割を演ずることが明らかになった. 悪性度の高い前立腺癌は, ADTによる血液中テストステロン値の変化を受けにくく, ADT後には副腎由来のアンドロゲンを用いてアンドロゲン環境を維持している. また, ADT下では, 下垂体-副腎内分泌軸がアンドロゲン合成調節の中心的役割を果たしていることが分かった. 重要なことは, 前立腺癌で不十分なアンドロゲン抑制が個々の患者で治療効果の不均質性の原因となり, 低アンドロゲン環境での生存に適応した前立腺癌クローンの増殖に寄与する. 腫瘍微小環境でアンドロゲン軸を抑制するより効果的な方法が必要なことを示唆している. ARシグナル経路は, 悪性度の高い前立腺癌のADT下の増悪の重要なメカニズムであると考えられる. 悪性度の高い前立腺癌患者のADTに関しては, 治療の初期から去勢と共に, テストステロンとDHTの産生抑制とAR活性を抑制することが重要である. CRPCの患者に対する abiraterone acetate のようなCYP17A1抑制剤やMDV3100のようなARアンタゴニストを利用する新規のADTは, 70年間打ち破られなかったADTの限界に飛躍的な前進をもたらすと考えられる. 今後, 悪性度が高い前立腺癌と診断された患者のADTに対する臨床効果を改善するために前立腺内のアンドロゲン代謝やARシグナル経路の状態の詳細な研究が重要である.}, pages = {581--601}, title = {前立腺癌ホルモン環境概念のパラダイムシフト}, volume = {125}, year = {2011} }