@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009694, author = {神保, 康志}, issue = {6}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Jun}, note = {【背景と目的】虚血性脳血管障害において, 脳浮腫は急性期死亡や機能予後不良の大きな原因となっているが, その生成メカニズムの全貌は明らかになっていない. 現時点でも結論を見ていないものの一つが, 浮腫を惹起する水の組織への主たる流入部位が虚血中心部なのか辺縁部なのかという点である. 浮腫水の組織内への移動部位に関しては従来, 含水量が最も高くなると考えられる虚血中心部の残存血流とする報告が多数を占めていた. しかし,虚血中心部では早期より微小循環の破綻が生じており, 浮腫を惹起する血管内の水の供給源が断たれた状態であり, 浮腫水はむしろ残存血流量が多く, ある程度微小循環が保たれている虚血辺縁部から組織に移動するのではないかと考えられた. 【方法】虚血性脳浮腫生成初期における血管から脳組織への水流入の部位的な定量化を, 水のプロトンの代わりにその安定同位体である重水素 (Deuterium : D) に置換した重水 (D_2O) を用いた Dynamic MRI により試みた. 中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルラットにおいて, 脳浮腫生成の初期段階である虚血作成2時間後に生理食塩水により血清に等張化したD_2Oを経静脈的に投与し, MRIを用いて脳組織内へのD_2O流入を経時的に観測したデータより, 血管内から組織への単位時間あたりの水の移動量の正常対側比 (Ktrans%) を部位別に算出した. 【結果】Ktrans%は虚血中心部では低下していたが, 虚血辺縁部ではむしろ対側非虚血半球より上昇しており, 虚血組織への主たる水の流入部位は従来から考えられていた虚血中心部ではなく, 虚血辺縁部からの流入量が大きい事が示された. 【考察】血液脳関門の機能障害以前にすでに虚血中心部で脳含水量の増加が生じていることが示されてから, Klatzoが脳浮腫の分類として提唱した cytotoxic edema と vasogenic edema の2つのstage間を補完する脳浮腫形成のメカニズムが存在することが予想され, Youngらはこの状態を ionic edema と名付けた. Simardらは cytotoxic edema において細胞間腔のNa^+濃度の低下により浸透圧勾配が生じ, 虚血辺縁部からNa^+およびそれに付随する水が虚血中心部に引き寄せられ, 虚血辺縁部での Epitherial Na^+ transporter の機能亢進の結果, 虚血辺縁部からのNa^+および水移動による虚血中心部の早期含水量増加が起こるという仮説を提唱した. 今回の研究の測定条件は定義としての ionic edema の時期にあたり, その結果はSimardらの仮説を支持するものと考えられた. 【結論】D_2Oを用いた Dynamic MRI により虚血性脳浮腫生成初期における血管から脳組織への水流入の部位的な定量化を行った結果, 虚血組織への主たる水の流入部位は虚血中心部ではなく虚血辺縁部からの流入量が大きい事が示された.}, pages = {327--335}, title = {Dynamic MRIを用いた虚血性脳浮腫生成時における水動態の局所解析}, volume = {126}, year = {2012} }