@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009478, author = {池田, 哲彦}, issue = {1}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Jan}, note = {低血糖脳症は, 時に重篤な転帰となる疾患であるが, その治療は血糖補正以外にない. 低血糖脳症の動物モデルとして, 平坦脳波を長時間維持するモデル(低血糖昏睡モデル)と, 平坦脳波に到達させないモデル(低血糖非昏睡モデル)が存在する. 前者は高度の低血糖状態を長時間維持し, 人工呼吸器を用いる点で, ヒトの低血糖脳症とは病態が異なる可能性がある. 後者は平坦脳波に代わる指標が研究者により様々であり, いずれのモデルにも欠点がある. よって平坦脳波を低血糖負荷の指標としつつも, 呼吸抑制が起きない程度の低血糖状態となる動物モデルを確立することが望ましい. 一方, 低血糖脳症の神経障害の機序としては, グルコース投与時に生じる酸化的ストレス(グルコース再灌流障害)が大きく関与することが知られている. また低血糖非昏睡モデルの検討にて, 酸化的ストレスに伴い細胞傷害性アルデヒドである4-hydroxy-2-nonenal(4-HNE)が生成されることが報告されている. 申請者は, 1)低血糖脳症の指標である平坦脳波を短時間にし, 人工呼吸器を使用しない, より生理的な低血糖脳症動物モデルを確立すること, 2)同モデルにて酸化的ストレスの増加による4-HNE生成と神経細胞変性が生じることを確認すること, そして3)同モデルにて酸化的ストレスを抑制するミトコンドリア酵素ALDH2(mitochondrial aldehyde dehydrogenase 2)の活性を増加させるALDH2アゴニストAlda-1が, グルコース再灌流障害に対し保護的に作用するかを明らかにすることを目的として研究を行った. その結果, 平坦脳波を短時間にすることにより, ヒトの臨床により近い生理的な低血糖状態を再現した低血糖脳症モデル(低血糖短時間昏睡モデル)を確立した. 本モデルの検討で, グルコース再灌流後の大脳の前頭から頭頂・側頭の皮質(軽度であるが海馬も)において4-HNE陽性細胞の出現と, 神経細胞変性を示すFluoro-JadeB陽性細胞が出現することを確認した. また, グルコース再灌流時にAlda-1(8.5mg/kg)を投与することにより, 4-HNE陽性細胞数が有意に減少し(P=0.042), かつFluoro-JadeB陽性細胞数も減少することを示した(P=0.007). 以上より, 平坦脳波時間を2分間に短縮した人工呼吸器を使用しないラットの低血糖脳症モデルが神経保護薬の開発に有用であること, ならびにAlda-1が低血糖脳症に対する神経保護薬の候補となりうる可能性を示した.}, pages = {25--37}, title = {低血糖脳症におけるグルコース再灌流障害による神経細胞死に対するALDH2アゴニストAlda-1の有効性}, volume = {127}, year = {2013} }