@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009432, author = {鈴木, 肇}, issue = {2}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Feb}, note = {近年, 変則的な神経修復方法としての神経交叉術により有用な機能再建が可能であることが報告され, 神経修復術の選択肢の一つとなっている. しかし, 神経交叉術はこれまで, 最も避けるべき神経再生の一つとされてきた過誤支配をもたらすはずの手技である. この危惧に反して臨床的に良い結果が得られているのは, これまで知られていない合目的な神経可塑性の発現によって, 過誤支配の問題を是正するメカニズムが機能しているためと考えられる. この仮説を検証するためにWistarラット一側上肢で筋皮神経と尺骨神経を切離し, 交叉端々縫合を行い, 逆行性に再生軸索から神経細胞までの神経経路全長をトレース可能なLacZ遺伝子組み込みadenovirus vectorを縫合部遠位から導入し, 末梢神経交叉術後の神経再生経路を検討した. 交叉実験に先立って筋皮, 尺骨神経を上腕本幹部で単独切離し直ちに縫合, 16週間後に縫合部遠位よりadenovirus vectorを導入し, 再生神経支配脊髄髄節レベルを検討した. その結果, 支配髄節レベルは筋皮神経がC5, 6, 7, 尺骨神経がC8, T1であり, 縫合修復後16週間経過しても, それぞれの神経支配髄節レベルは変わっておらず, 筋皮神経と尺骨神経の支配髄節レベルに明かな重複は認められなかった. 筋皮神経と尺骨神経の交叉実験では筋皮神経近位端に尺骨神経遠位端を交叉縫合し, 16週間後に縫合部遠位よりadenovirus vectorを導入し, 神経再生経路を検討するとC5, 6, 7神経髄節のみならず, C8T1髄節まで染色されたが尺骨神経近位端に筋皮神経遠位端を交叉縫合した場合はC8T1髄節だけが染色された. 尺骨神経の末梢効果器官は前肢遠位(手内)が大部分であり, 筋皮神経は上腕内の筋と前腕遠位部の知覚支配であることを考慮すると, 再生の標的器官が遠い場合は合目的な神経再生が起きうるが, 標的器官が近いと過誤支配が起きるものと推察された. 本実験により, 末梢神経交叉術後に交叉遠位に接合された神経本来の支配髄節レベルから交叉近位の異なる神経を経由して神経再生が起きうる事がわかった. これは, 末梢神経交叉術後に脊髄あるいはその末梢レベルで神経可塑性が作用することを示していると考えられる.}, pages = {95--102}, title = {神経交叉術における神経可塑性の検討}, volume = {127}, year = {2013} }