@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009319, author = {佐藤, 征二郎}, issue = {5}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {May}, note = {【目的】喫煙は肺癌の主要な原因であるが, 肺腺癌特に上皮内癌であるAISは非喫煙者にも多く生じる. 本研究では, AISと喫煙習慣の関連性について臨床病理学的因子, TTF-1陽性細胞系列か否か, EGFR, KRAS遺伝子変異, 受容体チロシンキナーゼ(RTK)経路の活性化という点から検討し, AISの生物学的・原因論的特徴を理解することを目的とする. 【対象・方法】1995年から2010年までに外科的切除を施行された111症例のAISを対象とした. 遺伝子変異はホルマリン固定パラフィン包埋切片より腫瘍細胞を顕微鏡下で採取した後, ゲノムDNAを抽出しnested PCR法にて遺伝子増幅を行った. EGFR遺伝子変異exon 18及び21に関してはダイレクトシークエンス法を用い, exon 19及び20についてはフラグメント解析にて同定した. KRAS遺伝子変異はcodon 12, 13及び61につきダイレクトシークエンス法にて同定した. RTK経路は代表的な下流分子であるAkt, ERK, Stat3のリン酸化状況について免疫染色を用いて判定した. 【結果】AIS症例は同時期に手術を施行された浸潤性肺腺癌と比較して女性と非喫煙者の割合が有意に高かった. しかし, AIS症例のうち男性に限ってみると, 75%は喫煙者であった. 喫煙者のAISと非喫煙者のAISとでは, 性別こそ差を認めたが, 年齢, 細胞系列マーカーであるTTF-1等の臨床病理学的因子においては違いを認めなかった. また, EGFR遺伝子検索においては非喫煙者71例のうち41例(58%)に変異を認めたが, 喫煙者31例のうち19例(61%)でも変異を認め喫煙習慣では違いを認めなかった. KRAS遺伝子変異率も非喫煙者で1.4%, 喫煙者で5.9%と, 差はあったが有意ではなかった. RTK下流発現解析では喫煙習慣に関わらず, p-Akt, p-ERKは40-50%陽性であり, p-Stat3は83%の陽性率であった. 【結論】非喫煙者, 喫煙者から生じるAISの生物学的特徴はTTF-1細胞系列を含む臨床病理学的因子, ドライバー遺伝子変異, RTK下流シグナル経路の活性化という観点においては明らかな違いはないことが分かった. つまり, 喫煙はAISの発がん原因ではなく, むしろ, AISからAISの形態を伴う浸潤性肺腺癌の進展に重要な役割を果たしていることが示唆された.}, pages = {250--262}, title = {喫煙習慣から観た上皮内腺癌(adenocarcinoma in situ)の生物学的特徴についての検討}, volume = {127}, year = {2013} }