@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009263, author = {川村, 邦雄}, issue = {7}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Jul}, note = {脳梗塞急性期の治療として行われる組織プラスミノゲンアクチベーターによる血栓溶解療法(tPA療法)は, 機能予後の大幅な改善が望めるが, 治療開始時間が遅れた場合, 血液脳関門 (blood brain barrier; BBB) の破綻に伴う脳出血を合併し, 予後不良となる. 一方, 血管新生因子アンギオポエチン-1(angiopoietin-1; Ang1)は, 血管内皮細胞の生存, 血管リモデリング, 血管の成熟や安定化に関与し, 脳虚血後においては血管内皮増殖因子によるBBBの透過性亢進を抑制することが報告されている. 私はAng1が血管の安定化を介して, 脳梗塞に対するtPA療法後の出血合併症や脳浮腫を抑制すると仮説を立てた. この検証のため, 自家血血栓により中大脳動脈を閉塞するラット脳塞栓モデルを使用し, 脳虚血後1時間でtPA療法を行うtPA1h群, 4時間後にtPA療法を行うtPA4h群, 脳虚血後にtPA療法を行わない永久閉塞群 (permanent middle cerebral artery occlusion; PMCAO)群, そしてSham群に分類した. まずSham群のラット正常脳組織において, Ang1はBBBを構成する周皮細胞, アストロサイト, および神経細胞に発現していた. 中大脳動脈領域の大脳皮質を試料として行ったウエスタンブロットでは, Ang1の発現量はSham群と比較し, tPA1h群, tPA4h群, PMCAO群のいずれにおいても低下していた(いずれもP<0.05). 一方, 免疫組織化学染色でのAng1陽性血管数はtPA1h群ではSham群と比較し有意差を認めなかったが, tPA4h群, PMCAO群ではSham群, tPA1h群と比較し有意に低下していた. さらにtPA4h群において組み換えAng1蛋白(COMP-Ang1)を経静脈的に投与したところ, Ang1蛋白を含まないCOMP蛋白を経静脈的に投与する対照群と比較して脳浮腫が抑制され(P=0.005), 全大脳ホモジネートにおけるヘモグロビン量で評価した脳出血量も抑制された(P=0.007). 一方, 脳梗塞体積と神経機能予後は両群間に有意差を認めなかった. 本研究により, 治療可能時間を超えたtPA療法後ではBBBにおけるAng1発現の低下が認められること, またその低下を補うAng1蛋白の投与は, BBB破綻の結果生じる出血合併症と脳浮腫を抑制できる可能性があることを示した. Ang1はtPA療法に伴う出血合併症を抑制する血管保護療法の標的分子として有望であると考えられた.}, pages = {355--367}, title = {脳梗塞に対する組織プラスミノゲンアクチベーターを用いた血栓溶解療法に伴う出血合併症に対するアンギオポエチン-1の効果}, volume = {127}, year = {2013} }