@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009143, author = {丸山, 公男}, issue = {11}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Nov}, note = {【背景】メチル水銀に起因する大規模な中毒症は日本(1950年代の水俣と1960年代の新潟)とイラク(1970年代)に発生した. WHOはイラクと新潟の調査をもとに毛髪水銀値50μg/g未満の曝露では神経学的傷害のリスクは低いという見解を示した. 一方, 著者らは毛髪水銀濃度が50μg/g未満でも神経学的徴候を生じる可能性があることをすでに指摘したが, その中に多くの水俣病認定患者が含まれていることにも着目した. そして, WHOの見解に統計学的検証を加えることを目的として, 1965年6月に毛髪水銀濃度が測定され, その後神経学的徴候を呈した109名のメチル水銀中毒症患者群(うち97名水俣病認定患者)を対象に毛髪水銀濃度とメチル水銀中毒症発生の関係について解析したので報告する. 【方法】新潟ではメチル水銀中毒症の集団発生の初期, 1965年6月に阿賀野川下流域で2つの広範囲な調査が行われた. これらの調査でメチル水銀中毒症を示唆する症状や所見が認められる, または, 他の家族にメチル水銀中毒症と関連する症状が認められる, または, 多量の川魚を摂取している, という条件を満たした1,386人の毛髪水銀濃度が測定された. 1,386人のうち1965年~1986年の間に治療を求め2つの医療施設を受診しメチル水銀中毒症の診断を受けたのは109名であった. 109名のうち97名が水俣病の認定を受けている. これらメチル水銀中毒症患者及び水俣病認定患者の有病率を毛髪水銀濃度が10μg/g未満群, 10以上20μg/g未満群, 20以上50μg/g未満群でカイ二乗検定を用いて比較した. 【結果】メチル水銀中毒症患者109名の年齢(1965年7月)は42.7±14.6歳(4歳~69歳), 性別(男女65:44), 水俣病認定患者97名の年齢(1965年7月)は44.1±14.0歳(9歳~69歳), 性別(男女60:37)であった. 毛髪水銀濃度別のメチル水銀中毒症患者の有病率の比較では, 10μg/g未満群に比し, メチル水銀中毒症の有病率が10-20μg/g群, 20-50μg/g群のいずれも有意に高かった. 水俣病認定患者の有病率の比較では, 水俣病認定患者の有病率が20-50μg/g群で有意に高く, 10-20μg/g群では, 高い傾向(p=0.063)が認められた. 【結論】現在のWHO規準(50μg/g)未満のメチル水銀曝露によりメチル水銀中毒症が生じ得る可能性を示唆した. 特に20-50μg/gに及ぶとメチル水銀中毒症の有病率が高くなる可能性を示唆した. 毛髪水銀曝露が50μg/g未満であってもその安全性については慎重な検討が必要である.}, pages = {620--627}, title = {毛髪水銀濃度とメチル水銀中毒症の関連について}, volume = {127}, year = {2013} }