@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008759, author = {小川, 洋 and 若井, 俊文}, issue = {2}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Feb}, note = {【緒言】膵癌の上皮内癌から浸潤性膵管癌への進行過程において, ムチン免疫組織化学およびCD10を用いた粘液形質の解析を行った報告はほとんどない. 本研究の目的は, 外科切除された浸潤性膵管癌を対象として, 膵癌の進行過程における粘液形質変化を解明することである. 【方法】上皮内癌部を含む浸潤性膵管癌41例を対象とし, MUC1, MUC2, HGM, MUC5AC, MUC6, M-GGMC-1, CD10, CDX2の免疫組織化学を行い, 上皮内癌部と浸潤癌部における粘液形質を比較し, 癌の進行過程での粘液形質変化を検討した. 【結果】膵癌症例においてMUC1および胃腺窩上皮型のHGM, MUC5ACは, 各々100%, 93%, 81%と高頻度に発現しており, 上皮内癌部では95%, 95%, 81%, 浸潤癌部では98%, 88%, 68%であり, どちらも高頻度に発現していた. 一方, CD10やMUC2は浸潤癌部, 上皮内癌部をとも低頻度であった. M-GGMC-1, MUC6は, 各々18%, 17%に発現し, 上皮内癌部では各々41%, 34%に発現していたのに対し, 浸潤癌部では各々6%, 7%と低頻度であった. 粘液形質により分類すると, 上皮内癌部においては, 胃腺窩上皮幽門腺型(FG型)が20例と最も多く見られ, そのうち14例は浸潤癌部で胃腺窩上皮型(F型)を示した. また, 上皮内癌部において胃腺窩上皮型(F型)は15例に見られ, 浸潤癌部も14例は同じ粘液形質であった. 浸潤癌部では, 胃腺窩上皮腸型(F-I型), 膵胃腺窩上皮型(P-F型)はそれぞれ1例ずつであった. 上皮内癌部, 浸潤癌部ともに純粋な膵型(P型)は認めなかった. 【考察】膵癌の進行過程における粘液形質変化の判定には上皮内癌部と浸潤癌部の正確な診断と, 正しい免疫組織化学の結果判定が重要である. 本研究では, 上皮内癌部と浸潤癌部の区別ためにVictoria blue染色を参考として用いた. また, 粘液の糖鎖付加状態に対する免疫組織化学の反応の違いから, HGMおよびM-GGMC-1に対する抗体を用いた. CD10の発現は上皮内癌部で5例(12.2%), 浸潤癌部で1例(2.4%)と発育進展によって発現頻度が低くなる傾向があったが, 統計学的な有意差は認めなかった. 浸潤性膵癌においては純粋な膵型が存在しないことは, 膵癌の進行過程において細胞分化が低下するという考えに矛盾しないと考えられた. 膵癌の進行過程において, 胃幽門腺型粘液のM-GGMC-1およびMUC6の発現が上皮内癌部から浸潤癌部になるにつれ有意に低下していた. 先行研究においても, このようなMUC6の発現減少は見られ, 癌化過程におけるMUC6発現減衰の原因に興味が持たれる. 【結語】膵癌の進行過程における粘液形質変化の解析から, 膵癌における上皮内癌部の粘液形質は胃腺窩上皮幽門腺型(FG型)あるいは胃幽門腺型(G型)が主体であり, 浸潤癌部では胃腺窩上皮型(F型)に粘液形質変化し, 胃幽門腺型(G型)や膵型(P型), 腸型(I型)の発現頻度は低くなる.}, pages = {59--70}, title = {浸潤性膵管癌の粘液形質と腫瘍の進展に伴う形質の変化についての検討}, volume = {129}, year = {2015} }