@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008713, author = {諸, 和樹 and 若井, 俊文}, issue = {5}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {May}, note = {センチネルリンパ節生検(sentinel node biopsy: SNB)は術前評価で原発巣T1-T2, かつ臨床的N0症例では標準手技となっている. センチネルリンパ節転移が陽性であった場合は, センチネルリンパ節以外の腋窩リンパ節(非センチネルリンパ節)にも転移の危険があるため, 腋窩郭清を行うことが一般的な治療指針とされてきた. しかし近年, 欧米の大規模な前向き臨床試験の結果により, センチネルリンパ節転移個数が2個以下の場合や, センチネルリンパ節転移巣が2mm以下の微小転移の場合では腋窩郭清を省略しても, 郭清を行った場合と比較して予後に影響を与えないことから, 今後は腋窩郭清を省略する方向に向かうことが予想される. しかし, センチネルリンパ節転移個数が2個以下の場合に, センチネルリンパ節以外の腋窩リンパ節である非センチネルリンパ節に転移が無いのか, あるいは転移の危険が少ないのか, については完全に明らかにされてはいない. したがって, センチネルリンパ節転移個数が2個以下での腋窩郭清の省略の安全性も確実ではないと考えられる. 今回我々は, 乳癌センチネルリンパ節転移陽性例における, さまざまな臨床病理学的因子と非センチネルリンパ節転移の有無との関連について調べ, また, 乳癌センチネルリンパ節転移個数が非センチネルリンパ節転移を予測するのに有用であるか否かを検討した. 2010年~2013年の期間に当科でセンチネルリンパ節生検を行った浸潤性乳管癌症例のうち, センチネルリンパ節転移が陽性で腋窩郭清が施行され, 年齢, 腫瘍浸潤径, 核異型度, 脈管侵襲の有無, ホルモン受容体発現, Her2受容体発現, Ki-67標識率などの臨床病理学的因子の検索が全て施行されている症例を検討の対象とした. 非センチネルリンパ節転移と年齢, 腫瘍浸潤径, 核異型度, 脈管侵襲の有無, ホルモン受容体発現, Her2受容体発現, subtype 分類, Ki-67標識率などの臨床病理学的因子との関連を調べた. また, センチネルリンパ節摘出個数, センチネルリンパ節転移個数と非センチネルリンパ節転移との関連についても検討を行った. 統計学的解析は Mann-Whitney U 検定, カイ2乗検定, およびロジスティック回帰モデルによる多変量解析を用いた. 統計学的判定は p<0.05 を有意とした. 該当期間のセンチネルリンパ節生検施行症例は310例であり, そのうち309例でセンチネルリンパ節を同定することができた(同定率99.7%). センチネルリンパ節同定症例のうち46例(14.9%)がセンチネルリンパ節転移陽性であった., 腫瘍浸潤径の平均は, 全体で27.5±21.3mmであり, 非センチネルリンパ節転移陽性例では転移陰性例に比し有意差はないものの腫瘍径が大きい傾向があった(34.5±26.3mm vs 21.5±13.8mm; P=0.0603). 非センチネルリンパ節転移の有無は脈管侵襲(リンパ管侵襲・静脈侵襲)と有意な関連を認めたが(P=0.0274), 年齢, 核異型度, ホルモン受容体発現, Her2発現, subtype 分類, Ki-67標識率との関連は認められなかった. 摘出されたセンチネルリンパ節個数は2.9±1.7個(中央値3個)であり, 転移陽性センチネルリンパ節個数は1.5±0.8個(中央値1個)であった. センチネルリンパ節転移陽性46例の全例で腋窩リンパ節郭清が施行されたが, 非センチネルリンパ節転移陽性は21例, 転移陰性が25例であった. また, 郭清された非センチネルリンパ節個数は全体で13.3±2.2個(中央値12個)であり, 非センチネルリンパ節転移個数は3.2±5.2個(中央値1個)であった. 摘出されたセンチネルリンパ節個数は非センチネルリンパ節転移陰性例と陽性例で差を認めなかったが(2.8±1.7個 vs 3.0±1.0個; P=0.5571), 転移陽性センチネルリンパ節個数は非センチネルリンパ節転移陰性例に比し陽性例で有意に多かった(1.2±0.5個: 中央値1個 vs 1.8±1.7個: 中央値2個; P=0.0086). さらにセンチネルリンパ節転移個数2個以下と3個以上の2群について, 非センチネルリンパ節転移との関連を検討したが, 有意な関連は認めなかった. しかし, センチネルリンパ節転移個数1個以下と2個以上の2群で検討したところ, センチネルリンパ節転移個数が2個以上では有意に非センチネルリンパ節転移の割合が高かった. 単変量解析でセンチネルリンパ節転移の有無と有意な関連を認めた脈管侵襲, およびセンチネルリンパ節転移個数について, ロジスティック回帰モデルによる多変量解析を行った. センチネルリンパ節転移のリスクは, 脈管侵襲(LVI)では脈管侵襲ありが脈管侵襲なしに対しハザード比3.868(P=0.068, 95%信頼区間 0.905-16.531)であった. 一方, センチネルリンパ節転移個数ではセンチネルリンパ節転移個数2個以上では, 1個以下に対しハザード比4.845(P=0.030, 95%信頼区間 1.164-20.167)であり, センチネルリンパ節転移個数は非センチネルリンパ節転移の独立した予測因子であることが示された. 乳癌センチネルリンパ節生検において, 脈管侵襲とセンチネルリンパ節転移個数は非センチネルリンパ節転移の危険性を予測する因子であり, センチネルリンパ節転移陽性例では腋窩郭清を行うべきである.}, pages = {245--255}, title = {乳癌センチネルリンパ節転移陽性例における非センチネルリンパ節転移の危険因子}, volume = {129}, year = {2015} }