@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008527, author = {佐藤, 良平 and 若井, 俊文}, issue = {12}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Dec}, note = {【背景・目的】膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能低下は, 栄養障害を惹き起こす契機となる注意すべき合併症の1つである. 膵外分泌機能を評価する方法としてPFD(pancreatic function diagnostant)試験, 呼気試験, 糞便中脂肪測定があげられるが, 現時点で保険適応とされているのはBT-PABA(N-benzoyl-L-tyrosyl-p-aminobenzonic acid)を内服後, 尿中PABA排泄率をみるPFD試験のみである. しかしながら, 消化・代謝に関わる内服薬の休薬と長時間蓄尿が必要なPFD試験を頻回に繰り返すことは患者負担が大きく, 膵外分泌機能を評価する簡便な方法が望まれている. 近年ではmulti-detector row CTの普及により, 体積の少ない膵臓でも詳細な画像解析が可能となってきた. 本研究の目的は, 術前後CT画像解析による測定値が膵外分泌機能低下の指標となり得るかを明らかにすることである. 【対象・方法】2006年10月から2014年3月の間に当施設にて膵頭十二指腸切除術を施行された症例のうち, 術後にPFD試験(尿中PABA排泄率, 正常範囲は>70%)を行った38例を対象とした. 術前後に施行されたmulti-detector row CTによるCT画像解析にて膵volumetryを行い, 術前膵volume, 残膵量, 残膵率, 主膵管径, 膵前後径, 膵実質厚, 膵実質CT値, 脾CT値を測定した. さらに, 膵実質CT値と脾CT値の比をP/S比率として算出した., 【結果】全症例38例の尿中PABA排泄率の中央値は, 56.5%(四分位範囲49.3-64.5)であった. この中央値を参考に, 正常値を含む尿中PABA排泄率55%以上の症例を正常・軽度低下群(20例), 55%未満の症例を高度低下群(18例)として2群に分類し, 両群間にて患者背景およびCT画像解析による各測定値の比較を行った. 正常・軽度低下群および高度低下群の尿中PABA排泄率の中央値は, 各々64.4%(四分位範囲59.3-67.2)および48.6%(四分位範囲38.6-52.4)であった. 両群間で悪性疾患および通常型膵癌の割合に有意差はなかったが, 高度低下群において年齢が有意に低く(P=0.030), 術後補助化学療法ありの症例割合が有意に高かった(P=0.004). また, CT画像解析測定値では, 残膵量(P=0.019), 残膵率(P=0.002), 術後P/S比率(P=0.015)の値が高度低下群で有意に低値であった. 年齢, 通常型膵癌, 術後補助化学療法あり, 術後膵実質厚, 残膵量, 残膵率, 術後P/S比率の7項目において, ロジスティック回帰分析によって解析を行った結果, 膵外分泌機能高度低下群に入ることに有意に独立して寄与する項目は, 術後補助化学療法あり(オッズ比9.8, P=0.043), 残膵率33%未満(オッズ比13.5, P=0.027), 術後P/S比率70%未満(オッズ比19.6, P=0.015)であった. 【考察】膵外分泌機能正常・軽度低下群と高度低下群の両群間において悪性疾患および通常型膵癌の割合では有意差がなく, 尿中PABA排泄率低下は術後補助化学療法自体の影響がある可能性が考えられた. さらに術後補助化学療法あり, 残膵率, 術後P/S比率は独立して膵外分泌機能低下に寄与する項目であると考えられた. 特に3次元的計測である残膵率は, 膵実質厚や膵前後径に比べやや煩雑ではあるが, より正確な残膵率を反映する測定値であり, さらに術後の膵萎縮を客観的に評価する方法としても有用である. また, 術後P/S比率が膵外分泌機能低下を反映するという本研究の結果は, 膵実質における脂肪置換や腺房組織の変化が膵実質CT値として表現されるという過去の報告を裏付けるものとなった. 【結論】膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能は術後補助化学療法によって影響を受ける. また, 術後CT画像解析から測定した残膵率, 術後P/S比率は膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能低下を反映する指標となり得る.}, pages = {742--750}, title = {膵頭十二指腸切除後膵外分泌機能を評価するCT画像解析方法の研究}, volume = {129}, year = {2015} }