@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008479, author = {佐藤, 裕美 and 寺井, 崇二}, issue = {3}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Mar}, note = {大腸癌治療ガイドラインにおける内視鏡的摘除大腸pSM癌の治療方針の妥当性について検討した. リンパ節郭清がなされた外科切除大腸pSM癌702例を対象に, 大腸癌治療ガイドラインに準拠して, 癌の主組織型, 未分化型成分の有無, SM浸潤距離, 脈管侵襲(リンパ管侵襲と静脈侵襲), 簇出の程度, の病理組織学的検索を行い, 病理組織学的因子およびそれらの組み合わせによるリンパ節転移陽性率を解析した. 対象例のリンパ節転移陽性率は9.3%(65/702)であった. 未分化型成分の有無, SM浸潤度(1,000μm未満か以上か), リンパ管侵襲の有無, 脈管侵襲の有無, 簇出の程度(Grade 1かGrade 2/3か)はリンパ節転移と有意な関連を示し, 内視鏡的摘除pSM癌の治療方針決定に有用な組織所見であることが確認された. 他方, 癌の主組織型とリンパ節転移には有意な関連はなく, 未分化型成分の有無が有意な関連を示したことから, 大腸癌治療ガイドラインにおける癌の組織型診断は, 最も分化度の低い組織型をもって行われるべきと考えられた. 次に, 癌の組織型を未分化型成分の有無で判定し, 病理組織学的因子の組み合わせによるリンパ節転移陽性率を解析した. 大腸癌治療ガイドラインでは, SM浸潤度1,000μm未満, 癌の組織型が分化型(本研究では未分化型成分無しに対応), 脈管侵襲陰性, 簇出Grade 1を経過観察基準としている. 本研究でもこれらの基準を満たすもののリンパ節転移陽性率は0%であり, 大腸癌治療ガイドラインにおける内視鏡的的pSM癌の経過観察基準は妥当なものと考えられた. 他方, 同ガイドラインでは癌の組織型が未分化型(本研究では未分化型成分有りに対応), SM浸潤度1,000μm以上, 脈管侵襲陽性, 簇出Grade 2/3(以上病理組織学的リンパ節転移リスク因子 : リスク因子)のいずれかを満たすものは郭清を伴う追加腸切除を考慮するとしている. 本研究では, 「SM浸潤度1,000以上」以外にリスク因子がないもののリンパ節転移陽性率は0.8%, リスク因子が一つ加わったもののリンパ節転移陽性率は11.4%, リスク因子が二つ以上の追加されたもののリンパ節転移陽性率は22.1~64.0%であった. これらのことから, 大腸癌治療ガイドラインの追加腸切除考慮群の中で, 「SM浸潤度1,000μm以上」の他にリスク因子がないものは, 内視鏡的摘除後の経過観察群に再分類できる可能性が示唆された. リスク因子が一つ以上加わったものは追加腸切除が妥当と考えられたが, 追加リスク因子が一つだけのもののリンパ節転移陽性率は本研究で対象としたpSM癌全体のリンパ節転移陽性率である9.3%に対して2%程度の上乗せしかないため, 同群のリンパ節転移リスクを絞り込むために更なる検討が必要と考えられた.}, pages = {163--175}, title = {内視鏡的摘除大腸pSM癌の治療方針に関する病理学的研究}, volume = {130}, year = {2016} }