@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008430, author = {伊藤, 岳}, issue = {8}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Aug}, note = {筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)は,成人期に発症し,進行性の筋萎縮と筋力低下をきたし,呼吸不全により致死性の経過をたどる運動神経細胞の変性疾患である.本症では,運動神経細胞の細胞室内にTAR DNA bindingprotein-43 (TDP-43)による封入体が蓄積する. TDP-43はRNAのスプライシングに関与する核タンパク質であるが,本症では核から消失するため,病態機序としてTDP-43の機能喪失が想定されている.一方,本症ではミトコンドリアの形態異常が報告されてきた. しかし,TDP-43機能とミトコンドリアの形態との関連は不明であった.著者はTDP-43の機能喪失により, ミトコンドリアの形態が変化するという仮説をたて, これを検討した.方法として,HEK293T細胞を用い,TDP-43の発現を抑制し, ミトコンドリアの形態と, ミトコンドリアの形態に関与するタンパク質、mRNAの解析を行った.更に,ALS患者のホルマリン固定パラフィン包埋脊髄標本から,運動神経細胞をレーザーマイクロダイセクションにより収集し,mRNAの定量解析を行った.HEK293T細胞ではTDP-43発現抑制によってミトコンドリアは断片.化した. また, ミトコンドリアの内膜の融合に関わるOptic atrophy1 (OPA1)の84kDaタンパク質の増加,OPA1 mRNAスプライシング多様体8の増加を認めた.OPA1の各々のエクソンでは,エクソン4bが増加すること見出した.実際,HEK293T細胞では,OPA1mRNAスブライシング多様体8の強制発現によりミトコンドリアは断片化した.最後にALS患者脊髄運動神経細胞にて,OPA1エクソン4bの発現量を検討したが, コントロール患者群と比して差を認めなかった. これらの結果から,HEK293T細胞ではTDP-43の発現抑制によりOPA1mRNAエクソン4bのスプライシングが抑制され,OPA1mRNAスブライシング多様体8が増加する. これにより, ミトコンドリアが断片化すると結論した. しかし,今回はALS患者の運動神経細胞にてそれを立証できなかった.今後,TDP43が核から消失した運動神経細胞に対象を絞った解析が必要である.}, pages = {465--478}, title = {TDP-43の機能喪失によるOPA1mRNAのスプライシング変化を介したミトコンドリアの断片化}, volume = {130}, year = {2016} }