@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008428, author = {立石, 善隆}, issue = {8}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Aug}, note = {抗酸菌は, ヒトへの病原性(伝播性と潜在感染) と細菌学的特性(脂質豊富な細胞壁構造と薬剤不応性)の両面で特殊性が高く,抗酸菌の研究成果は結核・非結核性抗酸菌症の臨床診断と治療に直結する.新規抗結核薬の開発は, 6か月を要する現在の標準化学療法の改善,および多剤耐性結核に対する化学療法の改善を行う上で,必須のものである.第一段階として,数万から数十万単位の化合物を対象に, high throughput screening をおこない抗菌活性のある化合物を同定する.第2段階として, 同定した化合物から,側鎖の修飾等により構造-活性連関を検討しリード化合物を得る.得られたリード化合物に対して,マイクロアレイによる転写活性プロファイル解析や耐性菌株の取得により,作用標的部位を同定する.次世代シーケンサーの登場により,自然耐性株の取得による作用機序の解明が主流になりつつある. しかし,予想に反して標的変異株が取得できない薬剤(特にブロドラッグ) も存在するため,新規抗結核薬の作用機序解明は,いまもなお労力と時間を要する仕事である.一方,Mycobacterium avium-intra-cellulare complex (MAC菌)は,環境常在菌・人獣共通病原体である点で結核菌と大きく異なる.近年, 肺MAC症は中高年女性を中心に現在急増している(罹患率15以上/10万人年)が,その臨床病態の進行には菌種特異的な病原因子が係ることが示唆された.つまり,臨床病態の進行と細菌学的病原性の合致する菌株が存在し,ブロファージや多数の菌種特異的な遺伝子の保有が, 菌株特有の病原性と臨床病態の進行性との関係を支持する. さらに,MAC菌はglycopeptidolipid (GPL)というMAC菌に特異的な糖脂質を産生し,細胞膜の表面に発現している. このGPLがバイオフィルムの発行に必須であることが証明され,GPLが浴室環境(給湯口,シャワーヘッド)の感染源,あるいは生体内における菌の生存戦略に重要な役割を果たすことが示唆された.このように,結核菌・非結核性抗酸菌の細胞学的性質を理解することは, 創薬,ワクチン,感染予防対策確立の土台となるものであり,結核・MAC症の制圧に大きく貢献する.}, pages = {447--453}, title = {結核・非結核性抗酸菌症の制圧をめざした研究}, volume = {130}, year = {2016} }