@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008423, author = {島田, 哲也}, issue = {9}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Sep}, note = {【緒言】近年の大腸癌に対する化学療法の進歩に伴い,切除可能な大腸癌肝転移に対しても術前化学療法を行う機会が増えつつある.本研究の目的は,大腸癌肝転移に対する術前化学療法が肝内微小転移巣と肝切除後の再発・生存に及ぼす影響を明らかにすることである.【対象と方法】2005年1月から2013年12月までの間に当科で初回肝切除が施行された大腸癌肝転移74例(術前化学療法施行24例,未施行50例)を対象とした.術前化学療法の治療効果は造影CT検査を用いてRECISTガイドラインに準じて判定した. 肝内微小転移巣は肉眼的肝転移巣から非癌肝組織により隔てられた組織学的病巣と定義した.切除標本において,HE染色に加えて免疫組織化学検査(D2-40モノクローナル抗体,CD34モノクローナル抗体)を行って肝内微小転移巣を同定した.肝切除後の経過観察期間の中央値は52か月であった.【結果】肝内微小転移巣を全74例中45例(61%)に合計278病巣認めた.術前化学療法施行例では,未施行例と比較して,原発巣の病期が進行した症例の占める割合が高く(P=0.001),同時性肝転移(P<0.001),多発性肝転移(P=0.006)を高頻度に認めた.術前化学療法が施行された24例中15例が部分奏効(奏効率は63%)を示した.術前化学療法未施行例では肝内微小転移巣を50例中38例(76%)に認めたのに対し,施行例では24例中7例(29%)に認めたのみであった(P<0.001). 術前化学療法施行例,未施行例の肝切除後の5年無再発生存率は各々56%, 59%, 5年疾患特異的生存率は各々76%, 78%であり,いずれも両群間で明らかな差を認めなかった(各々P=0.986, P=0.822).一方, 肝内微小転位陽性45例,陰性29例の5年無再発生存率は各々48%, 74%であり,陽性例は陰性例と比較して無再発生存率が低く(P=0.036), 肝内微小転移は再発の独立した危険因子であった(ハザード比, 2.635,95%信頼区間, 1.155-6.011,P=0.021).【結語】大腸癌肝転移に対する術前化学療法施行例は,末施行例と比較して生物学的悪性度が高い特徴を有する肺癌が多かったにもかかわらず,肝内微小転移の頻度が少なく,両者の間で肝切除後の無再発生存率,疾患特異的生存率はともに明らかな差を認めなかった. したがって,大腸癌肝転移に対する術前化学療法は肝内微小転移巣を減少させることで肝切除後の無再発生存、疾患特異的生存の改善に寄与している可能性がある.}, pages = {512--522}, title = {大腸癌肝転移に対する術前化学療法が肝内微小転移と術後転帰に及ぼす影響}, volume = {130}, year = {2016} }