@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008418, author = {谷, 優佑}, issue = {10}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Oct}, note = {潰瘍性大腸炎(以下UC)の炎症粘膜には高頻度で大腸癌が発生すること(炎症性発癌)が知られている.本研究では, ヒト癌の発癌早期過程に重要な役割を果たしていると考えられているDNA二重鎖切断 ( DNA double strand break : 以下DSB)が, 1.UC粘膜で生じているかどうか,2.UC粘膜におけるDSBと炎症の活動性との関連, 3.UC1粘膜におけるDSBとUC罹患期間との関連,を検討した.ホルマリン全大腸炎型UC外科切除例104例 (UC群)の直腸またはS状結腸を対象とした. 正常対照は,炎症性腸疾患を合併しない大腸癌外科切除例50例(非IBD群)の直腸またはS状結腸の非腫瘍粘膜とした.UC群,非IBD群の代表切片パラフィンブロックから3μm厚連続切片2枚を作成し,HE染色とDSBのマーカーであるγH2AXに対する免疫染色を行った.UCの炎症時相は,寛解期,慢性活動期,活動期に分類した. γH2AXの発現状態は,検索切片内の総陰窩数に対するγH2AXI陽性隠窩の割合、(γH2AX crypt index :以下γH2AX-CI) として評価した.1.UC群は非IBDに比べγH2AX-CIが有意に高値であった(中央値で11.0% vs.0%, P<0.001).2.UCの炎症時相別のγH2AX-CIは,寛解期:中央値4.4%,慢性活動期:中央値13.7%,活動期:中央値15.3%であり,寛解期と活動期との間には有意差があった(P<0.001).3.炎症時相別にみたγH2AX-CIとUC罹患年数との間には有意な相関はなかった.これらのことから,UC粘膜では正常大腸粘膜に比べ有意に高頻度にDSBが生じており,更にDSBの頻度は炎症の活動性と関連していたことから,DSBはUCの炎症性発癌に関連しているものと推定されたた.一方,DSBとUC罹患年数との間には有意な相関がなかったことから,活動性炎症で生じたDSBは必ずしも罹患年数に応じて蓄積されて行く訳ではなく,DNA損傷応答(DNA damage response :以下DDR)により修復されることが示唆された.すなわち,UCの炎症性発癌には活動性炎症によるDSBが必要条件ではあるものの, DSBに対するDDRの破綻が非可逆的な発癌過程への進行には必須であり,炎症性発癌メカニズムの解明にはDSBとDDRを併せた検討が必要と考えられた.}, pages = {581--588}, title = {潰瘍性大腸炎の炎症性発癌におけるDNA二重鎖切断の意義}, volume = {130}, year = {2016} }