@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008276, author = {渡邉, 佳緒里}, issue = {5}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {May}, note = {【背景】UCの非腫瘍大腸粘膜や大腸癌, 前癌病変であるdysplasiaでは, 胃型粘液(腺窩上皮型と幽門腺型)の発現があり, 慢性持続性炎症により胃型細胞へ分化形質変化を来した大腸粘膜が癌の発生母地である可能性が示唆されている. 本研究では, 大腸癌を合併するUC(担癌UC)と合併しないUC(非担癌UC)の非腫瘍大腸粘膜を対象として, それらの胃型粘液発現を免疫組織学的に検索し, UC大腸上皮の胃型細胞への粘液形質変化やそのパターンが, 大腸癌発生の高リスク群を予測するためのマーカーとなりうるかどうか, について検討した. 【対象と方法】担癌UC群14例, 非担癌UC群104例, 炎症性腸疾患を合併しない大腸癌の非癌部大腸(非IBD群)38例の非腫瘍粘膜を対象として, MUC2(腸杯細胞粘液マーカー), MUC5AC・HGM(胃腺窩上皮粘液マーカー), MUC6・M-GGMC-1(胃幽門腺粘液マーカー)に対する免疫染色を行い, 胃型粘液の発現頻度, 同発現細胞の陰窩内分布様式, を検討した. 【結果】腺窩上皮型粘液発現は, 非担癌UC群の90.4%, 担癌UC群の100%に, 幽門腺型粘液発現は, 非担癌UC群の42.3%, 担癌UC群の78.6%に認められた. いずれの発現率も, 非IBD群に比べ有意に高かった(P<0.05). UC罹患年数10年未満の症例では, 腺窩上皮型・幽門腺型いずれの粘液発現率も, 担癌UC群が非担癌UC群に比べ有意に高かった(P<0.05, P<0.01). UC罹患年数10年以上の症例では, 担癌UC群, 非担癌UC群で胃型粘液発現頻度に有意差はなかった. UC群の腺窩上皮型粘液発現細胞は, 胃幽門腺粘膜や非IBD群と同様に陰窩中層~表層にかけて分布するものと陰窩全長にわたって分布するもの(aberrantパターン)とがあった. 幽門腺型粘液を発現する細胞も, 幽門腺粘膜と同様に陰窩中層~底部に分布するものと陰窩のほぼ全長にわたって分布するもの(aberrantパターン)とが認められた. UC罹患年数10年未満の症例では, 胃型粘液を発現する陰窩に占めるaberrantパターンの割合は, 腺窩上皮型で非担癌UC群の18.2%, 担癌UC群の100%, 幽門腺型で非担癌UC群の17.6%, 担癌UC群の80.0%であった. いずれも担癌UC群が非担癌UC群に比べ有意に高かった(P<0.01). UC罹患年数が10年以上の症例で, 胃型粘液を発現する陰窩に占めるaberrantパターンの割合は, 腺窩上皮型で非担癌UC群の23.5%, 担癌UC群の88.9%, 幽門腺型で非担癌UC群の0%, 担癌UC群の33.3%であった. 腺窩上皮型粘液では, 担癌UC群が非担癌UC群に比べ有意に高かった(P<0.01)が, 幽門腺型粘液では両群間に有意差はなかった. 【結論】UC大腸粘膜では, 胃型(腺窩上皮型および幽門腺型)粘液発現細胞への形質転換が起きている. UC罹患年数10年未満の症例では, 胃型粘液の発現および発現細胞が陰窩のほぼ全長にわたって存在するaberrantパターン陰窩の存在が, 罹患年数10年以上の症例では腺窩上皮型粘液発現がaberrantパターンを示す陰窩の存在が, UCの大腸癌発生高リスク群を予測するためのマーカーになりうる可能性があると考えられた.}, pages = {290--302}, title = {潰瘍性大腸炎の非腫瘍大腸粘膜における胃型粘液発現の検討 : 大腸癌合併例と非合併例との比較}, volume = {131}, year = {2017} }