@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008228, author = {相馬, 大輝}, issue = {8}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Aug}, note = {【緒言】近年の大腸癌に対する化学療法の進歩を背景として大腸癌肝転移に対して術前化学療法を実施する機会が増えつつあり,大腸癌肝転移に対する術前化学療法の治療効果を予測することは臨床上,重要な課題となっている.抗酸化ストレス蛋白であるNAD (P) H : quinone oxidoreductase-1 (NQO1)は種々の癌腫で化学療法に対する感受性との関連が示唆されている.本研究では,NQO1発現が大腸癌肝転移に対する術前化学療法の治療効果予測因子となり得るか否かを評価する.【対象と方法】当科で術前化学療法実施後に初回肝切除が施行された大腸癌肝転移23例を対象とした.術前化学療法の治療効果は,肝切除前にRECIST(version 1.1)で判定するとともに,切除標本で大腸癌取扱い規約第8版に従って組織学的に判定した.NQO1発現の有無は,切除標本でNQO1モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学を行うことで同定した.肝転移巣の腫瘍細胞がNQO1発現陰性を示す場合,同一標本内の非腫瘍性大型胆管上皮細胞もNQO1発現陰性であればNQO1遺伝子多型ありと判定した.【結果】23例における術前化学療法のRECISTによる治療効果判定は,PR(Partial Response: 部分奏効)が14例,SD(Stable Disease: 安定)が8例,PD(Progressive Disease: 進行)が1例であり,奏効率は61%であった.術前化学療法の組織学的な治療効果判定は,Grade 0が3例,Grade 1が9例,Grade 2が11例であった.23症例中15例(65%)が肉眼的肝転移巣におけるNQO1発現陽性であり,8例(35%)がNQO1発現陰性であった.NQO1発現陰性の8例中,非腫瘍性大型胆管上皮細胞がNQO1発現陰性を示すNQO1遺伝子多型が6例で認められた.肉眼的肝転移巣のNQO1発現の有無と術前化学療法のRECISTおよび組織学的治療効果判定との間に明らかな関連を認めなかった(各々,P=0.400,P=0.193).一方,NQO1遺伝子多型の有無と術前化学療法のRECISTによる治療効果判定との関連を検討すると,NQO1遺伝子多型を認めた6例全例がPRを示したのに対し,NQO1遺伝子多型を認めなかった17例では8例(47%)がPRであり,NQO1遺伝子多型によりNQO1発現陰性の症例では有意に奏効率が高かった(P=0.048).【結語】NQO1が遺伝子多型により発現していない大腸癌肝転移症例は化学療法に対する感受性が高く,NQO1遺伝子多型は大腸癌肝転移に対する術前化学療法の治療効果を予測する有望なバイオマーカーの候補の1つである.}, pages = {491--500}, title = {大腸癌肝転移に対する術前化学療法 : NQO1発現を用いた治療効果予測の可能性}, volume = {131}, year = {2017} }