@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008128, author = {飯島, 友也}, issue = {2}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Feb}, note = {外部からの刺激と連合した記憶は,神経細胞間のシナプス結合の強度が可塑的に変化することによって形成される.特に,恐怖情動の記憶には,扁桃体や海馬におけるシナプス結合の可塑性が重要である.神経伝達物質の1つであるドーパミンは,このシナプスの可塑性に影響を与え,恐怖記憶に関わると考えられている.一方,ドーパミンが恐怖記憶にどのように作用するのか,そのメカニズムには未だに多くの疑問が残されている.扁桃体に入力する腹側被蓋野領域のドーパミン作動性細胞には, Otx2ホメオ蛋白質が発現して細胞機能の維持に関わることが示唆されている.そこで本研究では,ドーパミン作動性細胞とOtx2の恐怖記憶における作用を検討するため,ドーパミン作動性細胞特異的なOtx2ノックアウトマウスを作製した.このマウスを用いて音に対する恐怖条件付けを行うと, Otx2ノックアウトマウスにおいて恐怖記憶が低下することが明らかになった.さらに,組織学的な解析を行うと,恐怖記憶を制御する扁桃体基底外側核の前側核において,ドーパミン線維の減少が観察された.同様に,前側核において恐怖記憶の保持に関わるコンドロイチン硫酸や, Parvalbuminの発現が減少していた.これらの結果から, Otx2欠損による扁桃体基底外側核の前側核の異常が,恐怖記憶の低下を招くと考えられた.近年,扁桃体基底外側核の前側核が恐怖刺激に応答するのと反対に,後側核は報酬刺激に応答することが報告されている.今回,Otx2欠損によって後側核の異常は検出されなかったことから, Otx2を発現するドーパミン作動性細胞は,前側核のみに作用して恐怖記憶の想起を促すことが示唆された.本研究の結果は,ドーパミン作動性細胞が入力した局所領域あるいは標的細胞の性質により,ドーパミンがもたらす作用に違いが生じることを示唆している.}, pages = {49--59}, title = {ドーパミン作動性細胞に発現するOtx2の恐怖記憶における役割}, volume = {132}, year = {2018} }