@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00008123, author = {佐藤, 朋江}, issue = {3}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Mar}, note = {神経核内封入体病(Neuronal intranuclear inclusion disease; NIID)はエオジン好性,かつ,p62陽性の核内封入体(Nuclear inclusion; NI)が,中枢神経系の神経細胞やグリア細胞のみならず,末梢神経や一般臓器の細胞にも広く出現する神経変性疾患である.成人発症NIIDの大多数は白質脳症(Leukoencephalopathy; LE)を伴う認知症を呈する.近年,診断に皮膚生検が有用であることが報告された.本疾患の病態機序は不明であるものの,組織学的に, NIの多くはアストロサイトに出現し,病巣においてアストロサイトの形態異常やグリオーシス不全が認められることから,アストロサイトの機能障害が疑われている.アストロサイトの活性化や増殖を促進する主要な増殖因子としてTGF-βが知られている. TGF-βシグナル経路は,Smad2/3のリン酸化と核内移行を介して伝達され, Smurf2により抑制的に調節されている.我々はこの経路の障害がアストロサイトの機能異常を招き,本疾患の病態に関与していると推測した.本研究では, LEを伴い中枢神経症候を呈した成人発症NIIDの剖検例5例と生検例1例(With LE群),および,それらを有さず剖検にて偶発的にNIが認められた3例(Without LE群)の大脳組織と, LEを伴い中枢神経症候を呈し皮膚生検にて成人発症NIIDと診断された7例の皮膚組織を対象として, NIの形態学的特徴とTGF-βシグナル関連蛋白の発現を検討した.その結果, NIは概ね90%がグリア細胞に出現し,その出現頻度はLEの有無に関連しなかった.また,With LE群のNIは,Without LE群では見られない大きなサイズまで幅広く分布していた.さらに,リン酸化Smad2/3の正常な核内の発現は,LEの有無に関わらず,NIを有する細胞で低下や消失していた.また,一部のNIはSmurf2陽性を示し,その陽性率は皮質細胞および脳室上衣細胞のいずれにおいてもWith LE群において有意に高く,皮膚生検例でも同様であった.以上から, NI形成は直接的に細胞障害には結びつかず,病態の進行に伴いその構造や組成が変化すると考えられた.また, TGF-βシグナル経路の障害が組織障害を来すより以前の段階から生じ,一方で, Smurf2の過剰発現がアストロサイトの機能障害やLEの発症に関与している可能性が示唆された.また,皮膚生検組織におけるp62とSmurf2に対する抗体を用いた蛍光免疫二重染色によるNIの共陽性率の測定は本疾患の診断の参考となり得る.}, pages = {83--92}, title = {成人発症神経核内封入体病の封入体形成における,TGF-βシグナル関連タンパクの関与の検討}, volume = {132}, year = {2018} }