@misc{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00006006, author = {石川, 博補}, month = {Mar}, note = {【緒言】肝硬変などの背景疾患を有する肝切除では術後感染症が多く発生し,予後を大きく左右するため,その克服は重要な課題である.しかし,術後感染症治療において感染源が不明である病態はしばしば経験することであり,そのなかでも,Bacterial translocation(BT)は敗血症に進展する場合もあり,無視できない合併症である.BTは腸内細菌やエンドトキシンが腸管壁を通過し,正常な生体組織に移行する状態と定義されている.血中エンドトキシンの測定は術後感染症やBTの診断に有用であるが,従来の測定法では結果に約24時間を要し偽陽性も少なからず認められるため,実臨床での治療応用には問題があった.近年,エンドトキシンの新しい測定法としてEndotoxin Activity Assay(EAA)が開発され,測定時間が約30分に大幅に短縮し検査精度も向上した.EAAは血液中のエンドトキシン濃度に応じて免疫複合体を形成させ,それに反応した患者の好中球・補体から産生される活性酸素を測定することで,Endotoxin Activity Level(EA値)を算出する.本研究では,肝切除症例においてEAAを用いてEA値の測定を行い,EAAが肝切除術後の感染性合併症やBTの診断に有用かどうかを明らかにする.【方法】2015年4月から11月までに当科で肝切除術を施行した21例を対象とした.術後1日目に採取した末梢血液を用いてEA値を測定した.EA値が0.4未満のEA低値群と0.4以上のEA高値群とに分け,2群間で周術期因子および術後合併症について比較検討した.2群間の比較には,カテゴリー変数値に対してはFisherの直接確率検定もしくはχ^2乗検定,連続変数値に対してはMann-Whitney U検定を用いた.両側P値<0.05を有意差ありと定義した.【結果】肝切除症例の対象疾患は肝細胞癌が10例(48%)と最も多くを占めた.測定したEA値の中央値は0.32(範囲:0.05-0.59)であり,EA低値群は12例(57%),EA高値群は9例(43%)であった.両群間で比較すると,周術期因子では術前クレアチニン値および術後血中乳酸値がEA高値群で有意に高かった(各々P=0.017,P=0.042).術後合併症はEA低値群で4例(33%),EA高値群で8例(89%)であり,EA高値群で高頻度に認められた(P=0.024).EA低値群の合併症の内訳は胆汁瘻が1例,乳糜漏が1例,胃内容排出遅延が1例,創し開が1例であったのに対し,EA高値群では手術部位感染が4例,イレウスが2例,誤嚥性肺炎が1例,カテーテル感染が1例と多くが感染性合併症であった.感染性合併症の発症率を比較すると,EA低値群では0例(0%)に対し,EA高値群では6例(66.7%)と高頻度に認められた(P=0.002).イレウス合併の2例ではBTを発症していたと考えられ,BT発症率は肝切除症例全体で9.5%(2/21),EA高値群で22%(2/9)であった.感染性合併症およびBTの発症率はEA低値群では0%(0/12)に対し,EA高値群では89%(8/9)と高頻度であった(P<0.001).【結語】肝切除後症例では,高頻度に高エンドトキシン血症を認めた.血中エンドトキシンの新しい測定法であるEAAは,肝切除後の感染性合併症およびBT発症の早期予測指標として有用である可能性が示された., 学位の種類: 博士(医学). 報告番号: 甲第4408号. 学位記番号: 新大院博(医)甲第807号. 学位授与年月日: 平成30年3月23日, 新大院博(医)甲第807号}, title = {肝切除術後症例におけるEndotoxin Activity Assayの有用性}, year = {2018} }