@misc{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00005786, author = {吉川, 悠一}, month = {Mar}, note = {本研究の対象とするのは物価指数である。物価指数は「経済の体温計」とも呼ばれており,物価の不安定な動きは,経済の健全な発展を阻害する。物価指数,特に消費者物価指数は日本銀行が金融政策における判断材料として使用しているほか,賃金,家賃や公共料金改定の際に参考にされるなど,経済政策を的確に推進する上で重要な指標となっている。政策が効果的であるかどうかは,価格の決定メカニズムに大きく依存する。そのため,物価ダイナミクスの研究は経済学において最重要課題の一つとなっている。従来の物価変動に関する研究は,一般(総合) 物価と貨幣数量の関係を調べるなど,もっぱらマクロな変数を用いた分析が主であった。ミクロの価格についての研究は2000年以降よくなされてきたが,個別の物価間の相互作用という観点では限定的な範囲におさまっていた。本研究では,景気,外国為替レートおよび国内物価の連関ダイナミクスを実証的に明らかにするため,景気動向指数(先行,一致,遅行),円ドル為替レート,中分類物価指数(消費者,企業,輸入)を組み合わせた多変量時系列データ(1985年1月から2014年12月までの期間)に対して,主成分分析を拡張した複素ヒルベルト主成分分析法による解析を行った。従来の主成分分析の手法では同時刻の変量間で相関を見ているため異時刻での相関を抽出することは難しい。相関は同時刻で存在するとは限らず,むしろタイムラグのある動的な相関の存在が一般的である。このようなタイムラグのある相関を抽出する手法として複素ヒルベルト主成分分析がある。ヒルベルト変換によって複素化された時系列の位相が,変量間のリード・ラグ関係の情報を与える。自己相関を保存したまま相互相関のみを壊すRotational Random Shuffling法を帰無仮説として主成分の統計的有意性を検定したところ,有意味な主成分が6個得られた。その内,最大固有値,第2最大固有値に対応する第1主成分と第2主成分が,季節変動とは無関係のモードである。第1主成分では,景気動向先行指数,為替レート,輸入物価指数がリードし,その影響が景気,さらに国内物価へと順繰りに伝播していく。第2主成分では,景気動向が国内物価の変動に先駆けている(第1主成分とは対照に,景気動向と為替レート,「石油・石炭・天然ガス」を除く輸入物価とは逆サイクル)。特筆すべき事実は,中下流にあたる国内物価に影響が波及していく際のリード・ラグ関係が第1,2主成分の間で酷似していることであり,国内物価間の普遍的な連関構造の存在が示唆される。また,それらの主成分は大きな経済イベントのショックに対してそれぞれ異なった反応を示す。ただし,ショック時以外でも一定の強度持っていたことから,特定の経済イベントに特徴的な構造ではなく,平時から存在しているゆらぎが経済イベントの要因によってその特徴をそのままに駆動されていると考えられる。, 学位の種類: 博士(理学). 報告番号: 甲第4179号. 学位記番号: 新大院博(理)甲第408号. 学位授与年月日: 平成28年3月23日, 新大院博(理)甲第408号}, title = {景気・為替・物価変動の連関ダイナミクス : 複素ヒルベルト主成分分析}, year = {2016} }