@misc{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00005678, author = {金山, 雅人}, month = {Sep}, note = {本研究ではバースト的重力波に対して新しい時間-周波数解析手法を導入し,重力波天文学に向けた重力波源のパラメータ推定に関する研究を行った.日本のKAGRA,アメリカのAdvanced LIGO,イタリア・フランスのAdvanced Virgo からなる第2世代地上型重力波望遠鏡が本格観測を始め,今後数年で重力波の初の直接観測が期待されている.重力波は光速度で伝播する潮汐力の波で,一般相対論で予言される波動現象である.電磁波とは異なり重力波は物質に対して強い透過力を持つため,天体の内部や初期宇宙の情報が得られると考えられている.そして電磁波観測とは質の異なる重力波天文学が幕開くと期待されているが,直接的な重力波の検出はいまだ無い.また連星パルサーPSRB+1913+16 の電波観測から,重力波の間接的な証拠は得られている.地上型重力波望遠鏡に対する最も有望な重力波源は,中性子星やブラックホールからなるコンパクト連星の合体と超新星爆発である.コンパクト連星合体は公転運動しているコンパクト連星が重力波を放射しながら徐々に接近していき,最後に衝突する天体現象である.このようなコンパクト連星の合体段階や超新星爆発からの重力波は,バースト的重力波と呼ばれている.重力波を検出するためには,望遠鏡の雑音の中に埋もれた微弱な重力波信号を取り出す解析手法が必要不可欠である.バースト的重力波の解析において,重力波信号の振幅と振動数の時間変動を捉えることが最も重要であり,これまで短時間フーリエ変換やウェーブレット変換などの時間-周波数解析手法が用いられてきた.しかしながらどの解析手法も一長一短であり,決定的なものは見つかっていない., 本研究ではバースト的重力波に対する解析手法として,Hilbert-Huang 変換(HHT)を適用する研究を進めてきた.この手法はHilbert 変換により複素信号を導入するため,時間と振動数の不確定性関係が存在しないという特徴をもっている.つまり従来の時間-周波数解析より,振幅と振動数の時間変動について詳細な解析が期待できる.始めに,バースト的重力波をモデル化した波形にHHTを適用し,HHTの性質について調べた.さらに,これらの結果をもとに中性子星連星の合体前後からの重力波,超新星爆発のコアバウンスからの重力波に対してHHTを適用し,重力波源を特徴付けるパラメータの推定に関する解析シミュレーションを行った.近年の電磁波観測を反映させた数値シミュレーションから,中性子星連星合体後に大質量中性子星の形成が報告されている.大質量中性子星の形成について,連星の全質量と状態方程式が重要なパラメータであることが分かってきた.しかし中性子星のような高密度核物質の状態方程式はほとんど分かっていない.そこで大質量中性子星からの重力波を,HHTで解析を行った.連星の全質量が既知とすると,状態方程式は中性子星の半径で特徴づけられ,その半径を数100mの誤差で推定できることを明らかにした.今後大質量中性子星からの重力波を観測できれば,多くある状態方程式の理論モデルについて制限を付けられると考えられる.大質量の恒星は進化の最後に,重力崩壊型超新星爆発を起こし,中性子星もしくはブラックホールを形成する.超新星爆発については数値シミュレーションによる研究が精力的に行われているが,その爆発メカニズムは未だに解明されていない.コアバウンスからの重力波から爆発直前の恒星内部を知ることができるため,超新星爆発メカニズムの解明が飛躍的に進むと考えられる.ここでは重力波形の再構築と数値シミュレーションのカタログから,恒星中心にある原始中性子星のパラメータ推定を行った.銀河中心での超新星爆発を想定すると,注入した重力波を適切に再発見できるを示した.しかし重力波源の物理パラメータが違う場合でも,似たような波形になることがあるので,これらを区別することは難しいと考えられる., 学位の種類: 博士(理学). 報告番号: 乙第2196号. 学位記番号: 新大博(理)乙第66号. 学位授与年月日: 平成27年9月24日, 新大博(理)乙第66号}, title = {Hilbert-Huang変換を用いたバースト的重力波の解析}, year = {2015} }