@misc{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00004679, author = {松田, 州央}, month = {Sep}, note = {近年,化石燃料に変わるエネルギーとして,気体燃料の持つ化学エネルギーを高効率に直接電気エネルギーに変換することができる燃料電池や金属水素電池に関心が持たれている.これらの電池の開発や研究には,変換の舞台となる金属界面における気体燃料の動的過程(吸着,表面拡散,表面反応,脱離)の詳細を解明することが重要となる.界面ポテンシャル,相互作用エネルギー,吸着サイトは,その解明に重要な役割をもつ.これらの基礎事項を研究する上で燃料電池の基本形であるPt|H2|H+electrolyte|O2|PtセルにおけるPt電極界面の酸素や水素の挙動を考えるのが適しており,燃料電池の電極開発やガスセンサの開発に対して有望であると考える.金属界面における水素や酸素の吸着には分子状での吸着と金属界面で解離し原子状で吸着する2つのタイプがある.近年,Pt上における原子状酸素と分子状酸素のエネルギー状態が吸着サイト別に結合距離の関数としてクラスターモデルによって計算されている.実験的には,分子線分光を用いて,白金表面上の酸素分子の並進エネルギーを測定した例やPt表面上の水素と酸素の関係を観測した例がある.また,電極表面上のダイナミックな性質を得るために多くの電気化学的方法がある.例えば,サイクリックボルタンメトリー,クロノポテンショメトリー,クロノアンペロメトリーなどである.これらの方法を使った例としては,ボロンハイドライド型燃料電池の触媒陽極Pt,Au上のBH4-の電気化学的酸化が研究されている.これら従来の電気化学的方法では,外部の電源により継続的に電圧や電流を印加することによって電極表面状態を制御している.我々は外部電源なしで金属-水素系を研究するEMF法を提案した.我々の方法は外部電源なしの孤立系であるから金属上の水素の動的性質を物理的に評価するのに適している.これまで,H2|H+電解質|Ptセルを用いたEMF測定により,水素の吸着,脱離過程が議論されてきた.しかし,これらの測定は大気中で行われ,EMF値に約4mVのゆらぎが認められた.我々は初期の予備実験から,このEMFのゆらぎが溶存空気に非常にセンシティブであるという手がかりを得た.そこで,本論分では,新たにガス流量制御型電気化学セルを設計・製作し,溶存空気とEMFの関係,Pt電極上の酸素の動的脱離過程を解明することを目的とした.新たに開発したガス流量制御型セルの構成は,Pt-BK|H2|H+ electrolyte|Gas|Pt (Sample)であり,Pt (Sample)上のGasをArバブリングで除去したり,酸素吸着処理によってPt電極に酸素のみを吸着させたりできる構造とした.なお,Pt-BK|H2|の構成は標準水素電極(NHE)を意味する.酸素吸着処理とは,(-) Pt (Dummy)|H+ electrolyte|Pt (Sample) (+)の構成により電気分解法にて実現した., 電解質中の溶存空気の影響を調べるために,大気中におかれた電解質にArバブリングを行うことで,溶存空気を除去する過程に対するEMF値の変化を測定した.バブリング前,大気中で0.8VあったEMF値は,Arバブリング開始後,経過時間とともにEMFは0.05Vまで減少して安定した.次にこの値が維持されている状況でO2,CO2,N2ガスを別々に電解質に供給したところ,O2ガスだけが劇的にセルのEMFを上昇させた.このことはEMFの初期値(0.8V)は大気下での電解質中の酸素が関与しており,EMFのベース値はArバブリングに溶存酸素が取り除かれて実現したことを裏付けた結果となった.ゆえにNHE側の半反応としてはH2→H++2e-,サンプルPt電極側の反応としては1/2O2+2H++2e-→H2O,全反応はH2+1/2O2→H2Oという水が生成する反応と結論づけた.上記の実験で溶存酸素が非常に活性であることを利用し,サンプルPt電極の酸素の動的脱離過程をEMF測定により研究した.Arバブリングにより得られる0.05VのEMF値について電気化学的な理論に基づき酸素量を評価し,低溶存酸素状態にあることを裏付けた.次いで,この溶存酸素フリーの状態でサンプルPt電極に酸素吸着処理を行い,その後のEMF値の変化を経過時間の関数として観測した.経過時間依存性の結果解析では,EMFの挙動は3つのステージに分類されることになる.ベースステージは上に述べた様にArバブリングにより安定したステージで電気化学的に解釈できる.1stステージは,サンプルPt電極上に再結合したO2の拡散モデルをベースとした電気化学的理論で説明される.この過程の温度依存性から,活性化エネルギーが求められる.2ndステージはサンプルPt電極上の原子状Oが吸着サイトからランダムに脱離するモデルを導入することで説明される.また,この過程のEMF値の温度依存性から吸着エネルギーが得られる.この実験方法により,Pt界面における酸素の吸着や脱着過程に関する知見が得られることがわかり,将来の燃料電池の電極やガスセンサの研究に役立つであろうことを示唆した., 新大院博(工)甲第204号, 新大院博(工)甲第204号}, title = {ガス流量制御型H2|H+電解質|Ptセルの開発とPt電極上の酸素の動的性質の研究}, year = {2005} }