@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00034064, author = {Tun, Aye Pa Pa}, issue = {6}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {Jun}, note = {外科切除原発性小腸腺癌(以下小腸癌)60症例60病変を対象に,その臨床病理学的特徴と,免疫組織学的検索によるCK7,CK20発現,粘液形質について検討した.小腸癌の発生部位は,十二指腸32例(53.4%),空腸17例(28.3%),回腸11例(18.3%)であった.臨床病理学的特徴は発生部位による差はなく,小腸癌全体では大腸癌との間にも差はみられず,小腸癌は大腸癌とほぼ同質の生物学的悪性度示す癌と考えられた.CK7の発現は小腸癌全体で45.0%,CK20の発現は61.7%であり,大腸癌全体と比較して有意にCK7発現頻度が高く,CK20発現頻度が低かった.CK7とCK20の発現を組み合わせた発現パターンには多様性があり,大腸癌の大部分を占めるCK7(-)/CK20(+)のパターンは小腸癌全体では41.7%に過ぎず,他のパターンが13.3~25.0%を占めた. こうした小腸癌のCK7,CK20発現パターンの多様性は癌の発生部位に起因する可能性があり,十二指腸癌・空腸癌で回腸癌に比べCK7の発現頻度が高くCK20の発現頻度が低い傾向があった.粘液形質では,小腸癌全体では大腸癌全体に比べ,MUC5AC,MUC6の発現頻度が有意に高く(43.3% vs.16.0%,23.3% vs. 9.3%),MUC2,CD10の発現頻度が有意に低かった(43.3% vs. 61.3%,13.3% vs. 37.3%).粘液形質別の頻度では,小腸癌の30.0%が冑型,16.7%が胃腸混合型,6.7%が小腸型,28.3%が大腸型であった.すなわち,小腸癌では発生母組織である小腸粘膜上皮の細胞系列が維持されているものは極めて少なく(小腸型の6.7%),半数近く(胃型の30.0%と胃腸混合型の16.7%)では胃粘膜上皮細胞への細胞系列転換が起きていることが想定された大腸癌との比較では,小腸癌は大腸癌全体に比べ,胃型の頻度が有意に高く(30.0% vs. 2.7%),小腸型の頻度が有意に低かった(6.7% vs. 32.0%). こうした小腸癌の粘液形質の特徴はCK7,CK20発現と同様に癌の発生部位により異なり,十二指腸癌・空腸癌では回腸癌に比べ胃型の発現頻度が高い傾向があった.これらの免疫組織学的検索から,小腸癌のCK7,CK20発現の多様性や胃型粘液形質発現は十二指腸癌・空腸癌の特徴的所見であり,十二指腸癌・空腸癌は回腸癌とは組織発生や発癌メカニズムが異なる可能性が示唆された.}, pages = {253--265}, title = {小腸腺癌の臨床病理学的および免疫組織学的検討}, volume = {133}, year = {2019} }