@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00034063, author = {竹島, 明}, issue = {6}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {Jun}, note = {【諸言】進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy,以下PSP)は異常リン酸化タウが蓄積する4リピートタウオパチーであり,姿勢保持障害,眼球運動異常などの主要徴候を呈する定型的PSP,即ちPSP-Richardson's syndrome(PSP-RS)に加え,様々な臨床亜型の存在が知られている.本研究の目的は,言語障害や遂行機能障害などの大脳皮質症状(cerebral cortical signs)を病初期からの主徴候とするPSPについて,そのタウ病理および臨床像との関連を明らかにすることである.【方法】2017年にMovement Disorder Society(MDS)が提唱したPSP診断基準(以下MDS-PSP診断基準)をもとに,以下の如くPSP-cerebral cortical signs(PSP-CC)とPSP-RSの2群を定義した.MDS-PSP診断甚準でprobable PSP-RSを規定する眼球運動異常,姿勢保持障害に先行して,同基準に含まれる大脳皮質症状を呈した症例をPSP-CC群とした.一方PSP-RS群はprobable PSP-RSを満たし,かつ大脳皮質症状が認められないか,認められる場合も眼球運動異常と姿勢保持障害に後続して出現した症例とした.PSP-CC群の8例と,死亡時年齢・罹病期間の一致したPSP-RS群の7例において,中前頭回皮質,一次運動野皮質,一次感覚野皮質,上頭頂小葉皮質,上側頭回皮質,被殻,淡蒼球,視床下核,上丘,橋核,下オリーブ核,小脳歯状核のパラフィン包埋切片を作製した.切片をリン酸化タウ抗体で免疫染色し,写真撮影した後,画像解析ソフトウェアを用いて神経細胞およびグリア細胞のタウ陽性構造を一括して定量化したまず各領域のタウ蓄積量を両群間で比較した.さらにPSP-RS群では下オリーブ核において,PSP-CC群では下オリーブ核を含めた上記領域において,可能なかぎり両側でタウ蓄積星を定量化した.タウ蓄積量が多い側の値を少ない側の値で除した比が1.5以上の時に左右差ありと定義し,この左右差と臨床症状・画像所見の左右差を対比した.【結果】タウ蓄積量は,一次運動野皮質,一次感覚野皮質,上頭頂小葉皮質においてPSP-CC群でPSP-RS群より有意に多かった.タウ蓄積量の左右差は,下オリーブ核ではPSP-RS群の7例中1例,PSP-CC群では8例中6例と後者で高頻度に認められた.PSP-CC群では下オリーブ核以外の領域でも左右差が認められ,かつ大脳皮質・基底核・脳幹にわたってー側性に偏椅し,画像での脳萎縮や脳血流低下の強い側に一致する傾向があった.また他人の手徴候は対側上頭頂小葉皮質への,パーキンソニズムは対側被殻・淡蒼球へのタウ蓄積偏椅と関連していた.【結語】大脳皮質徴候を病初期からの主徴候とするPSPでは,定型的PSPと比較し大脳皮質のタウ蓄積量が有意に多く,かつタウ蓄積は大脳皮質・基底核・脳幹にわたり左右のどちらかの側に偏る傾向がある.このタウ蓄積の偏りは臨床症状や画像所見の左右差に関連している可能性が考えられた.}, pages = {241--251}, title = {大脳皮質症状を呈する進行性核上性麻痺の臨床病理学的特徴}, volume = {133}, year = {2019} }