@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00034055, author = {中原, 亜紗}, issue = {5}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {May}, note = {筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は,上位および下位運動ニューロンの変性と脱落により,進行性に筋力低下を来す神経変性疾患である.近年,病態関連蛋白TAR DNA-binding protein of 43kDa(TDP-43)が同定され,核から細胞質内への局在変化がALSの病態に関与していると考えられている.ALSは,病理組織学的に,TDP-43陽性神経細胞質内封入体がほぼ運動系に限局しているtype 1と海馬を含む大脳の広い範囲にみられるtype 2に分類され,さらにtype 2は神経細胞質内封人体に加えて多数の変性神経突起を認めるtype 2bと,ほとんどみられないtype 2aに亜分類される.Type 2b群の患者は他の2群に比し下位運動ニューロンの脱落が軽度であるにもかかわらず呼吸筋麻痺を早期に生じるが,その機序は不明である.本研究では,ALSの脊髄前角の変性初期におけるこれら3亜群の神経細胞の形態学的変化の特徴を明らかにすることを目的に,3つの所見:コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の発現,Golgi体(GA)の断片化,および核内TDP-43の消失を検討した.3亜群とも,GA断片化,核内TDP-43消失,ChAT発現増強を示す細胞が高頻度に認められた.Type 2bにおけるGA断片化を示す神経細胞の割合は,type 1のそれと比較し有意に高く,type 2aのそれと比較しても高い傾向があった.3つの所見はtype 1とtype 2aでは互いに有意に相関した。Type 2bでも,GA断片化とChAT発現増強,およびGA断片化と核内TDP-43消失は有意に相関した.GA断片化やChAT発現増強は,核内TDP-43消失に至っていない細胞でも認められたことから,これらの現象は,核内TDP-43の消失に先行して始まっていることが示唆された.ALSの前角神経細胞変性の初期において,核内TDP-43の低下が生じる時期には,すでに軸索輸送障害などの細胞内変化が生じていること,また,変性過程は初期から亜群ごとに異なる可能性が示された.}, pages = {193--203}, title = {筋萎縮性側索硬化症における脊髄運動神経細胞の初期障害像}, volume = {133}, year = {2019} }