@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00034052, author = {小池, 佑佳}, issue = {4}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {Apr}, note = {筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経細胞が障害される神経変性疾患であり,病理学的には核蛋白であるTAR DNA-binding protein of 43kDa(TDP-43)が細胞質に蓄積する.TDP-43をコードするTARDBPの発現量の異常は,神経細胞死をもたらし,ALSにおけるTDP-43病理に関与する.しかし,孤発性ALSにおいてTARDBPの発現を乱す初期因子は明らかではない.生理的な条件下では,TDP-43は,TARDBP pre-mRNAの3'側非翻訳領城(3'UTR)内のイントロン7に結合し,選択的スプライシングを介して,自身の発現量を厳密に調節している.ALS病態には,このTARDBP pre-mRNA 3'UTRの選択的スプライシングに関与する因子が関わると考えられるが,孤発性ALSにおいて,その因子は不明である.遺伝子発現に大きく寄与する因子であるDNAのメチル化は,選択的スプライシングにも影響を及ぼす.本研究では,TARDBP 3'UTRのDNAメチル化状態がTARDBP発現量に寄与する可能性を検証するため,dCas9を利用したゲノム編集の手法を用い,HEK293T細胞におけるTARDBP 3'UTRのメチル化シトシン(CpG)部位を選択的に脱メチル化させた.その結果,TARDBP mRNAの選択的スプライシング効率が減弱し,発現量は約2倍に増加した.さらに,TARDBP 3'UTRに着目したバイサルファイトアンプリコンシークエンシング解析は,運動野皮質においてTARDBPイントロン7内のCpG部位のDNAメチル化率が,選択的スプライシング効率と正相関することを示した.TARDBPイントロン7に存在する6か所のCpG部位のDNAメチル化状態は,脳領域(運動野皮質,後頭葉皮質および小脳半球)に依存して異なっていた.加えて,運動野皮質では,この6か所のCpG部位のDNAメチル化率と年齢は逆相関を示した.選択的スプライシングに寄与する,TARDBPイントロン7のDNAメチル化状態は,細胞の状況や外的要因の影響を受けやすい.特に,ALSの罹患領域である運動野皮質において,TARDBPイントロン7のDNAメチル化状態の特性を見出したことは,孤発性ALS病態への寄与を考える上で,興味深い.今後,孤発性ALS患者脳において,TARDBPのDNAメチル化状態が変容しているか,明らかにしていく必要がある.}, pages = {159--172}, title = {TARDBP DNAメチル化状態によるTDP-43の自己調節機構関連スプライシングの変化}, volume = {133}, year = {2019} }