@misc{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00034005, author = {二宮, 格}, month = {2020-08-31, 2020-08-31}, note = {近年,細胞療法の研究が盛んに行われているが,その治療メカニズムは多面的と考えられている。著者らのグループらは,ミクログリアや末梢血単核球 (PBMC) に軽度の脳梗塞類似の刺激,すなわち低酸素低糖刺激 (OGD) により,これらの細胞が保護的な極性に変化することを見出した。また,OGD刺激を施したPBMC (OGD-PBMC) を,脳梗塞7日後のラットに,頸動脈投与することで,機能予後を著明に回復させることを報告した。しかし,OGD-PBMCが血液脳関門 (BBB) を透過し,脳組織保護的に作用する機序が明確ではなかった。今回OGD-PBMCの,BBB透過と脳組織保護作用獲得機序の分子機構について検討した。ラット末梢血からPBMCを遠心分離し,18時間OGD刺激 (OGD-PBMC),あるいは18時間通常培養 (Normoxic-PBMC) を行った。培養馴化培地または細胞溶解物を用い,ウエスタンブロッティングによる半定量評価にて,保護作用獲得機序を解明するために次の要因について評価した。血管新生,軸索進展を誘導する血管内皮増殖因子 (VEGF),抗炎症性サイトカインであるトランスフォーミング増殖因子 (TGF-β),抗炎症性因子を誘導する転写因子PPARγ,炎症性PBMCの細胞表面マーカーであるiNOS,さらに組織保護的PBMCの細胞表面マーカーであるCD206。脳内移行性獲得の評価のため,細胞接着因子であるα4β1-インテグリン (VLA4) について,PBMCの免疫染色を行った。また,単球化学誘引物質タンパク質-1 (MCP-1) についてウエスタンブロッティングによる半定量評価を行った。各々の細胞の培養馴化培地のVEGFの分泌は,OGD-PBMCでは認められたのに対し,Normoxic-PBMCでは認められなかった。またTGF-βの分泌は,OGD-PBMCではNormoxic PBMCと比較して,亢進していた (p=0.044)。各々の細胞溶解物では,PPARγは,OGD-PBMCで発現が増加していた (p=0.001)。炎症性の単球/マクロファージに対する,抗炎症性の保護的な単球/マクロファージの極性化を反映しているCD206/iNOS比は,Normoxic PBMCと比してOGD-PBMCでは6倍に増加していた (p=0.023)。VLA4陽性PBMC細胞数は,Normoxic PBMCと比し,OGD-PBMCでは増加していた (p < 0.001)。また,MCP-1はNormoxic-PBMCに比しOGD-PBMCで分泌が亢進していた (p=0.006)。以上からOGD-PBMCでは,PPARγ上昇により細胞保護的な特性をもつ種々の成長因子,サイトカインの分泌を亢進することを示した。また,OGD-PBMCの脳内への細胞移行の促進は,細胞接着因子VLA-4の発現増加及び走化性因子MCP-1の分泌の亢進を介している可能性が示唆された。, 新大院博(医)甲第914号}, title = {末梢血単核球の,低酸素低糖刺激による脳組織保護的特性獲得機序の解明}, year = {} }