@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00033821, author = {茂呂, 寛}, issue = {3}, journal = {新潟医学会雑誌, NIIGATA MEDICAL JOURNAL}, month = {Mar}, note = {鉄はヒトと細菌の双方にとって必須の金属元素であり,細菌の側では鉄に親和性の高い小分子シデロフォアを産生し,鉄を捕捉,回収することにより効率良く鉄を獲得する仕組みを持っている.一方,宿主側の鉄調節機構について詳細は不明な時期が続いていたが,今世紀初頭に鉄代謝の主要な調節因子であるヘプシジンが発見されて以降,様々な病態における鉄の関与が明らかになった.ヘプシジンは多層的な調節を受けて肝細胞で産生され,鉄の輸送体であるフェロポルチンに結合して分解を促すことにより,小腸上皮細胞やマクロファージからの鉄の運搬を抑制し,結果として血清鉄を低下させる方向に作用する.感染症に伴う血清鉄濃度の低下や二次性貧血は以前より経験的に知られていたが,これがヘプシジンの働きによることが理解されるとともに,細菌の鉄獲得を抑制することによる,宿主側の防御能の一環とも捉えられる.ヘプシジン以外にも,細菌が産生したシデロフォアを阻害するリポカリン2や,ファゴソーム内の鉄濃度を調整するNramp1の存在が,宿主側が持つ鉄調整因子として明らかになった.鉄代謝の治療への応用例として,シデロフォアの構造を側鎖に持つ抗菌薬cefiderocol(S-649266) の開発が進められており,菌側の鉄輸送経路を利用して能動的に外膜を透過することが可能であることから,グラム陰性菌に対する優れた抗菌活性が期待されている.このように,鉄代謝という新たな軸により感染症の病態を捉え直すことによって,病態のさらなる理解に加え,診療の分野への応用が期待される.}, pages = {97--102}, title = {感染症における鉄代謝の動態}, volume = {133}, year = {2019} }