@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00033424, author = {瀧澤, 勇介}, issue = {4}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Apr}, note = {組織・病理学的研究において,組織の保存や生体分子の不活性化のために,ホルマリンをはじめとする様々な固定剤が使われている.中でも,グルタルアルデヒドは強力に分子間,分子内を架橋する固定剤で,微細構造が保持されるため,電子顕微鏡用試料の固定に広く使用されている.一方,組織のタンパク質を質量分析装置で網羅的に解析するプロテオミクス研究が盛んに行われており,それには主に未固定組織が使われてきたが,近年,長期に保存されているホルマリン固定パラフィン包埋組織への応用が始まっている.しかし,プロテオミクスではタンパク質をトリプシンなどで分解したペプチドが解析対象であるため,ホルマリンで架橋されたタンパク質から良質のペプチドを得ることが容易ではなく,様々な手法が提唱されている.さらに,架橋作用がより強力なグルタルアルデヒド固定はプロテオミクスには供せないとされ,ほとんどその解析結果の報告はされていない.しかし,この強力な架橋作用は裏を返せば,生体内で近接するタンパク質同士をプロテオミクスで網羅的に同定できる可能性を秘めている.本研究は,私たちが開発したOn-Site Direct Digestion法を用いて,グルタルアルデヒド固定組織と架橋しない固定剤 (メチルカルノア固定剤) で固定した組織を質量分析装置で解析し,結果を比較した研究である.結果は,驚くことに,グルタルアルデヒド固定したラットの腎臓組織の同定タンパク質の種類(847.5±30.8種類,N=6) は,メチルカルノア固定した腎臓組織の数 (1063.0±98.8種類,N=6) にほぼ匹敵するものであった.また,非標識質量分析定量法,SI_N法で両解析のそれぞれのタンパク質を量的に比較しても,それぞれのタンパク質のSIN値は正の相関を示した.この結果から,On-Site Direct Digestion法を用いて,固定組織のプロテオーム解析を行うと,グルタルアルデヒド固定組織標本でも,満足できる解析が可能で,将来,タンパク質相互作用を解析できる可能性に道が開かれた.}, pages = {131--138}, title = {グルタルアルデヒド固定パラフィン包埋組織のプロテオーム解析は不可能か?}, volume = {132}, year = {2018} }