@techreport{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00033192, author = {Koyama, Yoji}, month = {Mar}, note = {セルビア・モンテネグロは10年間に二度の戦争を経験した。ミロシェヴィチ時代は国際的に孤立した。この国は2000年秋にミロシェヴィチ体制が崩壊してようやく国際的孤立から抜け出すことができた。この国の経済は悲惨な状況にある。その経済は構造的に弱体である。慢性的に巨額の貿易赤字を抱えている。その輸出総額は輸入総額の3分の1しかカバーできない。この国がいわば南東欧の動乱の震源地であったので、経済を再建することは、国民の幸せのためのだけではなく、南東欧の安定化のために必要である。 2001年5月に新しい民営化法が採択された。他の移行経済諸国と比べると、この国は民営化に向けて非常に遅いスタートを切った。2003年に民営化は外国資本の参加を得て、大きく前進したが、2004年に入ると、ペース・ダウンした。 不安材料は、この国が政治的に不安定だということである。セルビアとモンテネグロ両共和国の関係がぎくしゃくしているだけでなく、それぞれの共和国内でも不安定である。セルビアでは、セルビア民主党を中心とする連立政権に対して、民主党は野党の立場をとっているが、大統領職は民主党が握っているという一種のねじれ現象が見られる。未解決のコソボ問題、ICTY(旧ユーゴ国際戦争犯罪法廷)への不十分な協力、という問題も存在する。 この国の現状はある面では、第2次大戦直線後の日本の状況に似ている。この点では、戦後の日本の経験、朝鮮戦争後ならびに1997年の金融危機以後の韓国の経験も有益な教訓を提供している。国民は偏狭な民族主義は捨てて、モノ作りに邁進すべきである。 この国は非常に困難な状況にあるが、とくに重要な課題は以下の点である。 1)多分、モンテネグロは2006年5月の国民投票を経て、独立することになろう。それぞれの国内において政治的安定性を確保することが必要である。セルビアでは、改革を進めるためには、民主党とセルビア民主党の協力が必要である。 2)国際社会、とくにEUとの協力、ICTYへのより積極的な協力も必要である。 3)自主管理社会主義時代から受け継がれた悪弊(債務者によって管理される銀行、ソフトな予算制約、等)は絶対に克服する必要がある。 4)FDIを積極的に誘引するために、投資環境を改善する必要がある。その際、中東欧諸国の経験が参考となろう。 5)停滞した民営化を再度加速する必要がある。 6)民営化過程は大量失業の発生を伴う。雇用機会を拡大するために、そして経済を活性化するためにも、中小企業の育成措置を積極的に講ずる必要がある。, 平成15~平成17年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究報告書「移行経済諸国における投資環境の国際比較 : 中東欧対ロシア極東・南東欧」(課題番号:15530180)のうち,英語論文3編を冊子にしたもの(他2編は「新潟大学経済論集」掲載論文。関連リンク参照), Research Report of Grant-in-Aid for Scientific Research(C) Fiscal Year 2003-2005 (Project Number:15530180)}, title = {Economic Reconstruction of Serbia and Montenegro and Stabilization of South Eastern Europe}, year = {2006} }