@misc{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00032140, author = {角田, 竜馬}, month = {Mar}, note = {4f電子を一つ持つセリウム(Ce)を含む化合物では、磁気転移温度が絶対零度まで抑制される量子臨界点(QCP)近傍において、重い電子状態や異方的超伝導、非フェルミ液体的な挙動など興味深い物性が観測されている。Ce化合物の4f電子の電子状態は、QCPを境に磁気秩序を示す局在状態と、遍歴状態の間で変化していくが、QCP近傍での4f電子の電子状態は明らかとなっていない。Ce-Al系化合物は、大きな電子比熱係数γ=1600 mJ/(K^2・mol)を持つ典型的な重い電子系化合物であるCeAl3 や、2.7GPaにQCP が存在する重い電子系反強磁性体CeAl_2 などが属する。これらCe-Al系化合物では、圧力・磁場中などの極限環境下においてQCPの探索が行われている。また、Ce-Al系化合物ではQCP近傍での圧力誘起超伝導が観測されていないことから、QCP近傍での極低温における物性の振る舞いについて多くの知見が得られている。本研究で対象とするCeAlは反強磁性転移温度T_N=10K、γ=52 mJ/(K^2・mol)をもつ反強磁性体である。CeAlは反強磁性状態において複雑な磁気構造を示す。また、インコングルエントでありこれまで単結晶の育成が困難であったが、最近Ce-Alの混晶フラックスを用いた単結晶の育成が報告され、磁化の大きな異方性や多段のメタ磁性など特徴的な磁性を示すことが報告されている。本研究ではCe化合物のQCP近傍での磁性と電子状態についての知見を得るため、Ce-Al化合物群に属するCeAlの、残留抵抗比(RRR)が30~40程度の純良単結晶を用いて圧力・磁場中での比熱、磁化率、電気抵抗測定を行った。また、得られた結果からCeAlにおける反強磁性相と遍歴4f電子状態の関係について議論した。  圧力下の比熱、磁化率、電気抵抗測定からCeAlの反強磁性転移温度T_N が加圧に伴い上昇し、2GPa より高圧では3 つの反強磁性相転移温度(T_N2, T_N3, T_N4) に分裂した。これらの転移温度は6GPa より高圧で急激に減少し始め、P*=7.5GPaで消失する。低温での電気抵抗の温度依存性の解析から、電気抵抗の温度の二乗の係数Aと残留抵抗℘_0が7GPa近傍で最大となる振る舞いが観測され、局在的な磁気モーメントによる磁気QCP がP*近傍にあることが示唆された。ま、4.5GPaより高圧では圧力誘起相(PIP)が観測されPIPはP*より高圧でも観測される。PIPについて、不純物、圧力誘起超伝導、遍歴した4f電子による磁性の可能性について議論した。  また、常圧及び1.3GPaにおける横磁気抵抗を測定し、常圧では磁気構造の変化による二つの磁気異常を観測した。1.3GPaでの磁気抵抗では、3 つ以上の磁気異常と磁場の上げ下げによるヒステリシスを観測した。  本研究から得られた結果から、CeAlのPIPは遍歴した4f電子が寄与する磁性であり、CeAlは反強磁性相内で遍歴的な電子状態の4f電子が出現している可能性が示唆された。そこから、CeAlが加圧によって遍歴反強磁性が誘起される稀なCe化合物である可能性を示した。また、CeAlが圧力・磁場下で複雑な逐次転移を持つことを示す物質であることが明らかとなった。, 学位の種類: 博士(理学). 報告番号: 甲第4605号. 学位記番号: 新大院博(理)甲第438号. 学位授与年月日: 平成31年3月25日, 新大院博(理)甲第438号}, title = {極限環境下におけるCeAlの電子状態と逐次相転移}, year = {2019} }