@phdthesis{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:02000986, author = {小野寺, 崇 and Onodera, Shu}, month = {2023-05-09, 2023-05-09}, note = {本研究の目的は、ディジタル胸部X線撮影における画像処理について物理評価を行うことでその特性を理解し、低コントラスト病変の検出能向上を実現することである。また、撮影時の検出器として最もよく用いられる間接変換型Flat Panel Detector(FPD)に対する至適X線質を決定し、撮影線量低減の一助とすることである。ディジタル胸部X線撮影は医療における画像診断において最も基本となるものである。その撮影件数は非常に多く、検査の利便性の観点からもその重要性は年々高まっている。利用される検出器はComputed Radiography(CR)によるイメージングプレートから間接変換型FPDへと推移してきた。また、胸部X線画像における画質向上や診断能の向上を目的に、様々な画像処理が開発された。しかし、これら画像処理の効果は部位ごとの画質に左右される非線形挙動を示す。胸部X線画像において、肺野部と縦隔部では検出器到達線量や散乱X線量が異なるなるため画質が大きく異なる。よって、胸部X線画像の画質評価時は臨床条件を反映させた正確な評価が必要となる。近年、各メーカーからFPDシステムにおいて散乱X線補正処理が可能となるソフトウェアがリリースされている。これを用いることで、散乱X線除去用グリッド(以下グリッド)を装着しない撮影において散乱X線により低下した画像コントラストを改善することができる。散乱X線補正処理撮影時はグリッドを装着しないため、一次X線の増加が見込めることから撮影部位によってはグリッド装着撮影と比較し、X線量を低減できる可能性がある。そこで本研究では散乱線補正処理胸部X線撮影において、物理評価の観点から従来のグリッド装着撮影時と比較した線量低減について検討した。その結果、回診胸部X線撮影時において散乱線補正処理を用いた場合、グリッド装着撮影に対し20%程度線量低減をしても同等の画質が得られる可能性が示唆された。続いて、胸部X線上で肋骨に重なる病変の検出能向上を目的に、エネルギーサブトラクション処理が開発された。病変部の形状や他組織との境界は、病名や今後の治療方針の決定に直結するため非常に重要な情報である。通常、空間分解能の評価には空間周波数領域で評価を行うModulation Transfer Function(MTF)が用いられるが、その適用条件として評価画像の線形性を満たす必要がある。本研究では、非線形挙動を示す画像に対する空間分解能測定に被写体コントラストや背景雑音などを限局した状態で測定するタスクベース法を用いた。その結果、1 shot dual energy subtraction処理胸部X線画像の腫瘤領域における解像特性と深層学習を用いた腫瘤領域の抽出精度について高い関連性が確認でき、撮影時には従来と比較し25%程度の線量低減の可能性が認められた。また、ディジタル胸部X線撮影は最も多く施行されている画像診断検査であるにもかかわらず、いまだ至適線質について結論が得られていない。近年は銅(Cu)フィルタを付加した高管電圧撮影は画質改善効果が高いとされ、その有用性に関する報告例も散見される。しかし、Cuフィルタを付加することで実効エネルギーが変化し、FPDへのX線吸収効率の低下が予想される。そのため、現在最も普及している間接変換方式FPDを用いた胸部X線撮影時におけるCuフィルタの画質への影響を調査し、至適線質を明らかにすることは非常に重要である。画像の総合評価指標として空間周波数の関数であるNoise Equivalent Quanta(NEQ)やDetective Quantum Efficiency(DQE)が用いられるが、これらの測定法は散乱X線を含まない理想的な状態のX線を入力信号とした測定に終始している。胸部X線撮影時は照射野サイズが大きく、高管電圧撮影を行うことで縦隔や骨から多くの散乱X線が発生する。さらにCuフィルタを付加することで実効エネルギーが大きく変化し、画質へ及ぼす影響は大きなものになると予想される。本研究では、これらの問題の解決を図るため、臨床条件における被写体透過後のX線を入力信号とするEffective DQEを用いて画質の評価を行った。その結果、Cuフィルタを付加したときFPDのX線吸収効率は低下するが信号対雑音比の向上が確認され、これに伴い人工知能は低コントラスト病変の腫瘤領域を正しく抽出した。以上のことから、間接変換方式FPDを用いた胸部X線撮影時におけるCuフィルタの有用性を証明した。画像診断において、コンピュータ支援診断(CAD)を用いた読影を行っている施設が増加している。元来、読影は画像診断医自身が培ってきた経験をもとに行われてきた。しかし、近年の撮影件数の増加・画像枚数の増加に伴い、画像診断医の負担を軽減する目的でCADが導入された。CADには現在注目されている深層学習を根幹とするものも多く、その学習により低線量で撮影した高ノイズ画像であっても病変を検出できる可能性がある。本研究では画像処理を加えた胸部X線画像において、コンピュータが正しく病変を検出できるX線量を至適撮影条件と定めた。, 新大院博(保)甲第52号}, school = {新潟大学, Niigata University}, title = {ディジタル胸部X線撮影における画像処理の物理特性と最適線質に関する研究}, year = {} }