@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:02000704, author = {樋口, 涼子 and Higuchi, Ryohko}, issue = {10-12}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {Dec}, note = {背景と目的: これまでの研究では血液のヘモグロビン(Hb)値とCT値には正の相関があると報告されている.しかしそれらは生体を対象にした研究であり,CT測定と血液サンプリングは,異なる部位および時間で行われていた.今回は死体血を用いてHb値とCT値との間に相関関係があるかどうかを検証する.材料と方法: 2017~2019年に教室で行われた法医解剖例のうち67例から血液を採取した.採取部位は大動脈基部,下行大動脈,右心房の3部位で,合計174の血液サンプル(大動脈基部60例,下行大動脈58例,右心房56例)が得られた.それぞれについてHb値測定後,すぐに20mlポリプロピレンチューブに容れたままでCT撮影を行いCT値を求めた.5症例15検体についてはCT値の計測を著者の他に放射線科医,法歯科医の計3人で行い検者間信頼性の評価をし,更に著者が同一検体について3回CT値の計測を繰り返し検者内信頼性の評価を行った.大動脈基部,下行大動脈,右心房それぞれのHb値におけるANOVA検定とTukey法を用いた多重比較を行い,それぞれのHb値とCT値については単回帰分析を行った.結果: 級内相関係数(ICC)により,CT値測定の検者内信頼性及び検者間信頼性を得ることができた.下行大動脈のHb値は他の部位と比して有意に高値を示した.大動脈基部,下行大動脈,右心房の血液すべてにおいてHb値とCT値の強い正の相関が認められた.考察と結論: これまで生体を対象に行われてきたHb値とCT値の関係における研究を今回は死体を用いて行った.それにより大血管からサンプリングした血液そのもののHb値とCT値をほぼ同時に比較検討することができた.その結果,死体であっても血液のCT値はHb値に依存し,死亡に伴って個体差が出るような他の因子はX線吸収にほとんど影響ないことが示唆された.死後CTにおいて,主要な血管や心腔など血液で満たされた腔では背側に液面形成を伴う高吸収域を呈することがあるが,この現象は血液の成分が重力によって分離され血球成分が背側に沈降(血液就下)するためと考えられている.この高吸収域ではHb値がより高値であることが本研究結果より示された.下行大動脈は身体の背側に位置するため,仰臥位で静置された死体においては今回測定した3部位のうち最も低位にあり,下行大動脈のHb値が高値になったのは血球の沈降によって生じたと考えられる.}, pages = {221--227}, title = {血液のヘモグロビン値とCT値 : 死体における比較検討}, volume = {135}, year = {2021} }