@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:02000151, author = {番場, 景子 and Bamba, Keiko}, issue = {7}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {Jul}, note = {慢性疼痛の一つである末梢神経損傷に伴う神経障害性疼痛は難治性であり,この発症には脊髄後角および脳の神経可塑性が重要な役割を果たしていることが報告されている.脊髄後角や大脳皮質一次体性感覚野(S1)の神経細胞は末梢組織に対する侵害刺激により興奮し,その興奮性は高まる.神経障害性疼痛においても脊髄後角細胞とS1領域の神経興奮性が高まると考えられている.これらの研究は脊髄後角細胞やS1領域の神経細胞の興奮性増強が神経障害性疼痛の発症機序であることを示唆しているが,しかし一方でこれらの研究は神経障害性疼痛が完成した後に観察したものであり,脊髄後角細胞やS1領域の神経細胞の興奮性増強が神経障害性疼痛の機序である証拠にはならない.今回,我々は坐骨神経部分結紮マウスであるSNI(Spared Nerve Injury)モデルマウスを作成し,生きたまま神経活動の二次元的な計測が可能なin vivoフラビン蛋白自家蛍光イメージング法(flavoprotein autofluorescence imaging: FAI)を用いて,同側脊髄後角と対側の一次感覚大脳皮質(S1)領域の蛍光強度と空間分布を測定し,SNI術後の後肢刺激に対する動物の逃避閾値の変化,同側の脊髄後角細胞やS1領域の神経細胞の興奮性の経時的変化を比較した.後肢刺激への擦過刺激に対する逃避閾値をvon Frey filamentを用いて計測したところ,逃避閾値が神経損傷後4日目から低下し,長期間にわたって安定して低下していたのに対し,FAIでは擦過刺激に反応するS1領域の活動は術後4日から漸増する傾向があるものの,統計学的に有意な増加は認めず,21日後に初めて有意な増加を示した.一方,脊髄後角の神経活動は,SNI術後に増加することはなく,低下傾向さえ示した.これらの結果から,痛みの知覚の第一中継点である脊髄後角の神経活動は,痛みの知覚の高次中枢であるS1領域の神経可塑性とは一致しないことが明らかになった.また,S1領域の興奮性変化と機械的刺激に対する逃避閾値の変化の時間的経過も一致しないことが明らかになった.本研究より,従来考えられてきた末梢神経損傷によって脊髄後角における神経興奮に可塑性変化が生じ,さらにS1領域の興奮性の可塑性変化を伴って神経障害性痛を来すというこれまでの仮説とは異なった新しいメカニズムの存在が示唆された.}, pages = {227--236}, title = {In vivoフラビン蛋白自家蛍光イメージング法を用いた末梢神経損傷後のマウスにおける大脳皮質一次体性感覚野と脊髄後角の経時的な神経活動の違い}, volume = {134}, year = {2020} }