@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:02000109, author = {笠原, 壮 and Kasahara, Sou}, issue = {2}, journal = {新潟医学会雑誌}, month = {Feb}, note = {近年,多系統萎縮症(multiple system atrophy; MSA)の診断バイオマーカーとして,患者血液や脳脊髄液中のマイクロRNA(microRNA; miRNA)が報告されている.しかし,早期診断の為には,罹患細胞の細胞死による副次的な変化を除外する必要がある.そこで,罹患細胞が細胞死に至る前の病態を反映したmiRNAを解析する試料として,エクソソーム(exosome)に着目した.エクソソームは,細胞外小胞(small extracellular vesicle; sEV)の1種であり,内部の物質は分泌細胞の環境を反映する.MSAでは,主にオリゴデンドロサイトにてαシヌクレイン陽性の細胞質内封入体を認めることから,まず,この病態を反映する細胞モデルを作成し,その細胞由来のエクソソーム内に特徴的なmiRNAが存在するか否かを検証することを目的とした.ヒトオリゴデンドロサイト系培養細胞において,αシヌクレイン遺伝子と線維化αシヌクレイン蛋白を共導入し,αシヌクレイン陽性細胞質内封入体を形成した.その際の細胞培養培地から,超遠心法を用いてエクソソームを含むsEV分画を分離した.αシヌクレイン陽性封入体形成の有無の2群において,sEV分画から抽出したエクソソームRNAについて,マイクロアレイにより,2,578種類のmiRNAの発現量を解析した.両群のいずれかで発現を認めたmiRNAは1,036種類あり,両群間で発現量に統計学的有意差を認めたmiRNAは117種類であった.これらを用い階層クラスター分析を行ったところ,αシヌクレイン陽性封入体形成の有無に分類できた.また,αシヌクレイン陽性細胞質内封入体形成時に,2倍以上の発現変化を認めたmiRNAは29種類あり,28種類が増加,1種類が減少していた.この内,MSA患者体液中で発現変化が報告されており,挙動が一致していたのは,発現が増加したhsa-miR-663aのみであった.さらに,MSA患者において発現が低下するgamma aminobutyric acid A receptor associated proteinに対するmiRNA2種類をはじめ,オートファジー障害やαシヌクレインのミスフォールディングとの関与が示唆されるmiRNAの増加など,MSA病態の解明につながる可能性のあるmiRNAの変化を見出した.本研究では,ヒトオリゴデンドロサイト系培養細胞において,αシヌクレイン陽性細胞内封入体形成時に,エクソソーム内に特異的なmiRNA発現プロファイルがあることを見出した.この変化は,今後,ヒト患者組織や体液検体にて検証する必要がある.また,本研究において確立したエクソソームの分離およびエクソソームRNAの抽出手技は,様々な検体に応用が可能であり,MSA以外の神経変性疾患も対象としうる.この手技を用い,疾患特異的な診断バイオマーカーの開発や病態解明を進めていくことが期待される.}, pages = {61--74}, title = {α-シヌクレイン陽性細胞質内封入体形成時に誘導されるヒトグリア細胞由来エクソソーム内マイクロRNAの同定}, volume = {134}, year = {2020} }