@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00012635, author = {稲永, 親憲}, issue = {3}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Mar}, note = {グリオーマ細胞(GC)の遊走が血管内皮細胞(EC)の存在によってどのような影響を受けるのかを知る目的で,両細胞株を共培養し,GCの動態をリアルタイムで長時間観察した.まずGC株(ラットC6)にGFP-レトロウィルスを感染させ,蛍光シグナルを安定かつ強発現する細胞をクローニングした.これをEC株(ラット大脳由来)と共培養し,その動きをTime-lapse顕微鏡でデジタルイメージとして2-5時間記録した.ECを単層培養し,その後GCを追加すると,定着後のGCは様々な形態を示し,多数の突起を持つものや紡錘形単極あるいは双極性のものが観察された.GCの移動には基本的に3種類のパターンが認められた.単一の先導突起を収縮することにより胞体を素早く移動させるパターン,先導突起の長さを変えることなく胞体と突起が同期して移動するパターンと,突起は動かすものの核が殆ど動かないパターンである.これらの移動動態は,発生期終脳におけるダリア芽細胞が示すそれと類似していた.EC上でのGCの動きの特徴を明らかにする目的で,異なる細胞種であるラット線維芽細胞(NIH3T3)上でのGCの動きと比較したところ,2時間でのGCの平均移動距離はEC上で19.8μm,3T3上で32.8μmであり,有意差をもってEC上での方が動きに乏しかった.この差には両細胞株から放出された液性因子は関与しておらず,細胞膜におけるGCとECの親和性が関わっていると考えられた.次に,matrigelを薄くコーティングしたシャーレにECを播き,その後,GCの培養上清のみを添加すると毛細血管様のネットワークが形成された.このことから,GCから出された何らかの液性因子が,ECの管腔形成の促進に関与している可能性が考えられた.ネットワーク形成状態でGCを加えると,それらは紡錘形を示しつつネットワークに沿って移動した.指向性は示さず,交差あるいは途中で逆行する場合もあった.また著しく速く(56μm/h)移動する細胞の存在が初めて観察された.このようにGCが脳内で浸潤する際の移動動態は一様ではなく,それらは,増生したECが作る管腔に沿って積極的に移動し得るものと考えられた.本研究結果は,ヒト脳におけるグリオーマ細胞の浸潤メカニズムを知る上で極めて重要と考えられた.}, pages = {180--189}, title = {培養グリオーマ細胞の移動動態の観察 : 血管内皮細胞株との共培養下でみられたリアルタイム・ダイナミクス}, volume = {119}, year = {2005} }