@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00012556, author = {グリニョフ, イゴリ}, issue = {5}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {May}, note = {脳腫瘍の局所温熱療法において,脳および腫瘍の局所血流がどのように変化するかについては,未だ明らかではない.これまで,局所脳血流は脳表面においてのみ測定可能であったが,最近はLaser Doppler Flowmetry(以下LDF)の開発により,深部脳組織の局所血流測定も可能となった.そこで,本研究では,ラットグリオーマに対する組織内加湿時の,脳およびグリオーマの局所血液の変化をLDFを用いて検討した.(方法)実験には正常ラット(16匹)およびラットC6グリオーマモデル(15匹)を用い,局所加温には針型電極を用いる13.56MHzRF組織内加温システムを用いた.RF電極,温度センサーおよびLDFプローベは右頭頂にアクリル製のテンプレートを用いて目的の脳あるいは腫瘍内まで定位的に挿入,設置した.温度センサーとLFDプローベはそれぞれRF電極から2mmの位置に置いて,測定した.加湿の目標温度は39℃,41℃,43℃および45℃とし,各群でそれぞれ目標温度に到達した時点で局所血流を測定した.また各群とも目標温度で15分間加湿し,72時間後に断頭して病理組織学的検索を行った.(結果)正常脳の加湿では,39℃群および,41℃群では,局所脳血流は加温とともに徐々に増加して,それぞれ基礎値の126%,140%となった.43℃群では,血流は基礎値の149%にまで増加した後低下し,終了時には基礎値の97%にまで減少した.また.45℃群では45℃に到達するとともに血塊は基礎値の158%に増加し,その後急速に下降して基礎値の60%となった.一方,脳腫瘍モデルにおいては,正常脳と全く異なる結果を示し,39℃群で加湿終了時に基礎値の116%の一過性の増加を示したが,41℃群,43℃群および45℃群では温度上昇とともに局所腫瘍血流は減少し,それぞれ基礎値の66%,62%,42%となった.病理組織学的に加湿による凝固壊死巣の大きさを検討してみると.39℃群.41℃群,43℃群および45℃群における凝固壊死の大きさは,正常脳ではそれぞれ直径L2±0.1mm,2.4±0.2mm,3.5±0.2mm,4.1±0.2mm,腫瘍では1.5±0.1mm,3.2±0.2mm,5.0±0.2mm,5.5±0.3mmであり,いずれの加湿群においても凝固壊死巣の大きさは腫瘍組織の方が正常組織よりも有意に大きかった.(考察)LFDを用いてラット正常脳およびグリオーマの局所血流を測定した結果,局所加湿による正常脳と脳腫瘍の局所血流量の変化の相違が明確となった.すなわち,正常脳においては温度の上昇とともに血流が増加し,43℃以上の加温では,150%の血流増加に引き続き血流が減少した.一方腫瘍では,温度上昇に伴う血塊増加のパターンは41℃以上の加湿では見られず,加温とともに減少することが確かめられた.したがって,脳腫瘍では本来血流が少ない上に加温により血流が減少するために,腫瘍の選択的加温がさらに得やすい条件となり,加湿に適した環境になっているものと推測された.また,腫瘍周囲の脳組織では,41~42℃の比較的低い加湿により著明な血液増加をきたすことから,局所温熱療法に化学療法を併用する意義が高いものと考えられた.}, pages = {294--302}, title = {温熱療法におけるラット脳及びグリオーマの局所血流変化に関する研究 : Laser Doppler Flowmetryによる組織内局所血流測定}, volume = {119}, year = {2005} }