@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00012356, author = {渡辺, 律雄}, issue = {9}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Sep}, note = {劇症型心筋炎は,激しい炎症を伴い発症から回復にかけて心機能が著明に変化する.この経過において,心筋組織中の心筋炎を構成する細胞(心筋細胞,非心筋細胞あるいは炎症細胞)のクロストークが心機能障害の進展抑制や,心筋炎の病態形成に大きく関与していると推測される.今回我々は,ヒトの劇症型巨細胞性心筋炎に類似するラット実験的自己免疫性心筋炎(以下EAM)において,心筋細胞の遺伝子発現の変化をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に比較検討した.その結果,いくつかの遺伝子発現が大きく変化していることが示唆され,その中でもpancreatitis associated protein (PAP I)はEAM心筋細胞で,正常心筋細胞と比べて非常に発現が亢進していることを見いだした.定量的RT-PCRでも,PAP Iは組織学的に心筋炎をほとんど認めない発症のごく初期の第6日から第9日にかけて急激に発現量が増加し,心筋炎極期の第18日ではピークとなり,正常心筋細胞の約1800倍に達していた.また,極期のEAMラットの心筋組織から分離精製した細胞群での定量的RT-PCRの解析では,PAP Iの発現は非心筋細胞ではなく,ほとんどが心筋細胞に認められた.PAP IのアイソフォームであるPAP II, PAP IIIも心筋炎極期の第18日で著明な発現の亢進を認められた.PAPの転写活性化因子の1つと考えられているp8の発現は,正常心筋細胞に比し第18日目の心筋細胞で約12倍の亢進がみられ,転写を活性化していると想定されているIL-6も,正常の非心筋細胞に比し第15日目の非心筋細胞で約109倍に亢進していた.PAPの受容体の一つと考えられているregenerating gene (Reg)受容体を有する細胞は,広汎であり,心筋細胞およびαβT細胞やマクロファージなどの炎症細胞,さらに線維芽細胞,血管内皮細胞,平滑筋細胞を含む非心筋非炎症細胞にも発現が認められた.これらのことから,これらのPAPはEAM心筋細胞で劇的に発現が亢進し,産生分泌され,オートクリンとして心筋細胞に,あるいはパラクリンとして周囲の細胞に影響を与えていると考えられた.心筋炎における心筋細胞でのPAPについての検討は全く報告されていないが,急性膵炎におけるPAPの報告では,分泌型ストレス蛋白としての作用,抗アポトーシス作用,細胞の再生に関与する作用などを有するとされており,心筋炎の病態形成や心筋細胞障害の進展抑制などに大きく関与する可能性が考えられた.}, pages = {521--535}, title = {ラット自己免疫性心筋炎の急性期において劇的な発現亢進を認めたPancreatitis Associated Protein(PAP)の検討}, volume = {119}, year = {2005} }