@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00012345, author = {磯部, 賢論}, issue = {10}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Oct}, note = {【目的】肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor: HGF)は,急性腎不全モデルマウスにおいては尿細管の再生を促進し,慢性腎炎モデルマウスでは尿細管の線推化を抑制する作用が報告され,現在,慢性腎疾患への適応が検討されている.今回,私たちは,有効な薬物療法がないとされるAlport症候群の腎症に対してHGFの有効性をAlport症候群モデルマウスを用いて検討した.【方法】Alport症候群モデルマウスとして,IV型コラーゲンα鎖4遺伝子をノックアウトしたCo14a4ノックアウトマウスを用いた.ヒトHGF遺伝子(hHGF)は,エレクトロポレーションにより4週齢のAlport症候群モデルマウス腓腹筋に導入した.8週齢より尿蛋白を測定し,8週齢・12週齢での腎組織所見及び生存期間について検討した.【結果】hHGF遺伝子の発現期間を検討したところ, hHGF遺伝子の発現は,エレクトロポレーション法では約3週間持続すると考えられた.尿蛋白/クレアチニン比は,12適齢hHGF遺伝子導入群で対照群と比べ有意に抑制された.光顕では,8週齢の糸球体上皮細胞数は,対照群に比較して,hHGF遺伝子導入群では有意に多く保たれていた.またhHGF遺伝子導入群では,半月体形成は対照群に比較して有意に抑制され,線維性変化をきたした糸球体も少なかった.生存期間でも,hHGF遺伝子導入群で有意に生命予後の改善が認められた.TGF-β1の発現は,対照群と比べ6適齢のhHGF遺伝子導入群マウスの糸球体では抑制されていたが,8週齢では,発現抑制は認められなかった.このことからTGF-β1の発現抑制は,hHGF遺伝子の発現期間内に生じることが考えられた.また,8週齢の腎問質のα-SMAの発現でみた筋線推芽細胞の蓄積は,対照群と比べhHGF遺伝子導入群で抑制され,問質の線維形成が抑制されていることが考えられた.【考察】HGFは,Alport症候群モデルマウスの蛋白尿を抑制し,病理組織所見の増悪を遅らせることが判明した.また,HGFは,本マウスの腎症の引き金と考えられる糸球体上皮細胞の変性および基底膜からの剥離・減少を抑制することが,今回の病理組織学的検討から明らかになった.本研究結果より,HGFのAlport症候群モデルマウスに対する重要な効果としては,糸球体の線維化がまだ始まっていない時期の糸球体上皮細胞への細胞障害を抑制することと初期の尿細管間質障害の変化であるmyofibroblastsの増加の抑制にあると考えられた.今後,HGFはヒトAlport症候群への臨床応用に向けて検討されるべき薬剤になると思われる.}, pages = {611--625}, title = {In vivoエレクトロポレーション法を用いたHepatocyte Growth FactorによるAlport症候群モデルマウスの遺伝子治療の検討 : Hepatocyte Growth FactorはAlport症候群モデルマウスの尿蛋白を抑制できる}, volume = {119}, year = {2005} }