@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00012218, author = {本間, 順平}, issue = {3}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Mar}, note = {【目的】悪性脳腫瘍の診断学,治療学の発展のためには,新規標的分子の同定が重要と考えられ,著者らはそうした研究を継続してきた.CCAAT/Enhancer-binding protein (C/EBP) familyはロイシンジッパーファミリーに属する転写制御因子であり,これまでα~ζの6種類のメンバーが同定され,組織特異的な発現パターンが認められている.C/EBPβは主に細胞の増殖,分化,サイトカインに関する遺伝子の発現制御において重要な役割を担っている事が知られているが,最近では乳癌,腎癌,大腸癌の悪性化とC/EBPβの高発現の関係が報告されている.今回著者らは脳腫瘍とC/EBPβとの関係を明らかにする目的で,神経膠腫におけるC/EBPβの発現と組織学的悪性度,及び予後との相関について検討した.【方法】47例(WHO grade II 9例,III 11例,IV27例,平均年齢44歳)の神経膠腫症例より得られた組織及び5種類の神経膠腫細胞株について検討した.(1)C/EBPβタンパクの発現をウエスタンブロット,免疫組織化学染色法によって検討した.(2)定量RT-PCRによって組織におけるC/EBPβ mNAの発現を検討した.免疫組織化学染色,RT-PCRの結果については組織学的悪性度や予後との相関を検討した.(3)RNA interferenceによってC/EBPβの発現抑制による細胞増殖能や細胞浸潤能等,細胞生物学的特性への影響を解析した.(4)神経膠腫細胞株培養上清中のIL-8をELISAで測定し,C/EBPβ RNA interferenceによるIL-8産生にかかる影響を検討した.【結果】(1)免疫組織化学染色では全ての細胞核が様々な程度に染色された.核の染色性に基づいた分類に従って評価した結果,組織学的悪性度の高いものほど濃染される傾向が認められた.(2)ウェスタンブロット法では神経膠腫細胞株においてC/EBPβのfull length formであるLAPの発現が強く認められた.(3)組織におけるC/EBPβ mRNAの発現は組織学的悪性度と相関し,特に星状神経膠腫と神経膠芽腫において優位な差が認められた.(4)C/EBPβ mRNAの高発現群19例(>1.5ng/ml)と低発現群28例(<1.5ng/ml)を比較した所,高発現群において生存期間が短い傾向が認められた(p=0.043, Log-rank test).(5)C/EBPβ siRNAによるsilencingにより神経膠腫細胞株の増殖能は20%程度抑制された.また,マトリゲルマトリックスに対する細胞浸潤能解析においてもSiRNAは著しい抑制効果をもたらした.(6)IL-1β刺激を行った神経膠腫細胞株培養上清中にはIL-8の存在が証明されたが,siRNAによるsilencingを行ったものはcontrolに比し上清中IL-8が低下していた.【結論】これらの検討によりC/EBPβはタンパクレベル,mRNAレベルにおいて悪性度の高い神経膠腫において発現の亢進がみられ,これらが神経膠腫の悪性化に寄与している可能性が示唆され,予後を予測するマーカーとしての有用性が示された.また細胞生物学的解析によりC/EBPβは悪性神経膠腫細胞の増殖能,浸潤能に関与しており,またのIL-8を介した血管増生能への関与も示唆された.}, pages = {168--178}, title = {神経膠腫におけるCCAAT/Enhancer Binding Protein β発現の検討}, volume = {120}, year = {2006} }