@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00012217, author = {土屋, 尚人}, issue = {3}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Mar}, note = {背景:糖鎖は細胞表面の大部分を覆っており細胞間,および間質との相互作用に重要な役割を担っていると考えられている.糖蛋白質糖鎖の重要性が認識されながらも,その機能解析研究があまり進まない大きな理由の一つとして,細胞表面や組織中で発現している糖蛋白質糖鎖の系統的解析方法がないことが挙げられる.特に,脳腫瘍に関しては糖鎖の知見に乏しく,糖鎖を標的とした診断,治療の試みは極めて乏しい.分子標的として利用可能な糖鎖を新たに見い出す目的で,神経膠腫組織,細胞株につき高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて解析した.方法:15例の神経膠芽腫組織,3例の正常脳組織,3種の神経膠腫細胞株につき解析を行った.順相および逆相の二種類のHPLCを行い,それぞれにおいて標準検体に対する相対溶出時間を計算し,Glucose unit, Mannose unitを算出した.両者の数値を2次元マップ上にプロットし,マップ上の位置から組織内糖鎖の構造を決定した.1%以上含有されていた16種類の糖鎖を採取し糖鎖の構造を決定した.個々の糖鎖につき,Chromatograph上の面積から検体中のN結合型糖蛋白質糖鎖全体の合計に対するパーセンテージを算出した.HPLCの結果,神経膠芽腫組織に含有され,正常脳組織では検出されないA2G2Fに対して,レクチン染色を行った.LCAレクチンを使用することにより,A2G2Fの検出を免疫組織学的解析にて行った.さらに,LCAレクチンによる神経膠腫細胞株に対するアポトーシスの誘導の検討を行った.結果:(1)A2G2Fは神経膠芽腫組織において2.90±1.93%含まれており,神経膠腫細胞株において5.60±1.14%含まれていたが,正常脳組織では認められなかった.(2)A2G2は神経膠芽腫組織で12.66±8.33%認められ,正常脳組織の2.78±0.60%に比べ有意に高かった.(3)神経膠芽腫組織には肺癌や肝細胞癌で認められている高分岐型糖鎖は認められなかった.(4)神経膠芽腫組織,細胞株ではLCAレクチンにより非常に強く染色されたが,正常脳組織においては明らかな染色性を認めなかった.(5)神経膠腫細胞株にはLCAレクチンによりcaspase依存性のアポトーシスが誘導された.考察:これまでにヒト神経膠芽腫組織,細胞株において発現している糖鎖の構造を系統的に解析した研究はない.今回の結果から,神経膠芽腫組織,細胞株におけるN-結合型糖蛋白質糖鎖のパターンは個体間で非常に類似していたことから,病変の進行に伴う糖鎖の代謝の変化を解析することは有用であると考えられた.我々の研究から神経膠芽腫組織,細胞株においてA2G2Fが高発現していることが明らかとなった.さらに,LCAレクチンを用いた神経膠腫細胞の検出およびアポトーシスの誘導が示された.悪性神経膠腫に特異的なマーカー分子が明らかとなり,この分子を用いた分子診断,分子標的治療の発展が期待される.}, pages = {159--167}, title = {神経膠芽腫細胞株,組織内で高発現するN-結合型糖蛋白質糖鎖の分離,同定}, volume = {120}, year = {2006} }