@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00011996, author = {山本, 達男}, issue = {9}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Sep}, note = {腸管出血性大腸菌(血清型O157:H7)はタイプIII分泌システムによって腸管粘膜に粘着し,溶原化したファージから志賀毒素(Stx)を産生して水様下痢や出血性大腸炎などの腹部症状を,さらに溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重症合併症を惹起する.小児や高齢者のHUS発症は深刻で,予後不良となる.志賀毒素の作用は,蛋白合成阻害によるネクローシス,カスパーゼ活性化を介するアポトーシス,そしてIL-6,IL-8,TNF-α,IL-1βなどの炎症性サイトカイン産生の誘導で,志賀毒素サブタイプの中ではStx2が最も臨床的に強毒である.一方で,タイプIII分泌システム非依存的にHUSを発症し,死亡した小児例がわが国で発生した.原因大腸菌は,血清型O86:H-で,Stx2産生菌であった.このO86腸管出血性大腸菌は,120.73kbの粘着性プラスミドpO86Aをもち,外膜蛋白HdaA (15.5kDa)を産生して,分散型粘着(diffuse adherence)を示した.また,赤痢菌(Shigella flexneri)型のIgA1プロテアーゼ遺伝子を保有し,高い腸管免疫抵抗能力を示した.また,60.238kbの志賀毒素(Stx2)ファージを溶原化していたが,O157型ファージとは異なった独自のファージであった.当該小児例では「腸管内でO86型Stx2ファージが高定着性O86:H-大腸菌に溶原化し,新しい腸管出血性大腸菌が出現,致命的なHUSが惹起された」可能性が考えられた.}, pages = {485--493}, title = {小児腸管出血性大腸菌感染症とその発症メカニズム}, volume = {120}, year = {2006} }