@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00011989, author = {生駒, 美穂}, issue = {10}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Oct}, note = {全身投与されたオピオイドはAδ線維を介する速く鋭い痛みより,それに引き続くC線維を介した鈍い痛みのほうをより強く抑制する.一方,脊髄クモ膜下に投与したオピオイドがAδとCどちらの線維を介する痛みをより強く抑制するかについての行動学的研究はいくつか報告されているが,これまでに電気生理学的手法を用いて行った研究報告はない.脊髄第II層(膠様質)はオピオイドの主な作用部位と考えられているため,本研究では,脊髄膠様質細胞からパッチクランプ法を用いて,後根を刺激することによる興奮性シナプス応答を記録し,AδとC線維を介する応答に対するオピオイドの抑制作用を比較した.成熟ラット脊髄から厚さ約600μmの後根を付した脊髄スライス標本を作製した.膠様質細胞からホールセルパッチクランプ記録を行い,後根を電気刺激して誘起される興奮性シナプス後電流(excitatory postsynaptic current ; EPSC)を記録した.刺激の強度,刺激からの潜時によってAδ線維とC線維を介する応答を区別し,さらに単シナプス性の応答を同定した.シナプス前性の作用を観察するため,Gタンパク質阻害薬およびカリウムチャネル阻害薬を電極内に加え,シナプス後性の作用を除外した.μ,δ,κオピオイド受容体アゴニストを灌流投与し,AδとC線維誘起単シナプス性EPSCの振幅の変化を比較した.μ受容体アゴニストはほとんどの細胞でAδ,C線維誘起EPSCの振幅をコントロールに比してそれぞれ71±5%,48±6%に減少させた.δ受容体アゴニストは約70%の細胞でAδ線維誘起EPSCの振幅を88±3%に減少させたが,C線維誘起EPSCはコントロールに比して96±3%と抑制しなかった.一方,κ受容体アゴニストはA線維,C線維誘起EPSCとも抑制しなかった.オピオイド受容体は脊髄後角とくに浅層部(I,II層)に局在しており,μ受容体が70%以上を占め,続いてδ,κ受容体の順で多いと報告されている.さらに侵害刺激を伝導するAδ線維およびC線維に多く局在し,特にC線維シナプス前性の神経終末に優位である.したがって本研究でμ受容体アゴニストによってAδ線維よりもC線維を介する応答が有意に抑制された要因としてμ受容体の分布密度の違いが考えられる.また,δ,κ受容体アゴニストがμ受容体アゴニストに比べ強く抑制しなかったのも受容体の分布密度が関与している可能性がある.本研究の結果から,μ受容体アゴニストのシナプス前抑制作用はAδ線維よりもC線維を介するもののほうが強いことが示された.この結果は,μオピオイドがAδ線維に比べC線維を介する痛みをより強く抑制することのひとつの説明となりうる.}, pages = {587--597}, title = {脊髄後角におけるAδおよびC線維を介した痛覚伝達に対するオピオイドの作用の比較}, volume = {120}, year = {2006} }