@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00011511, author = {伊藤, 崇子}, issue = {10}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Oct}, note = {【目的】高コレステロール血症は心血管疾患の重要な危険因子である.その背景には動脈硬化の進展がある.慢性炎症はこの段階で重要な役割を果たし,各種の炎症性サイトカインの関与が報告されるようになった.近年,高感度CRP測定法が確立され,心血管疾患発症の予測因子になるとのエビデンスも確立されている.また,動脈硬化病変の早期かつ非侵襲的な評価に頚動脈超音波検査が有用である.しかし,炎症時に増加する急性相反応物質のなかでも,血清アミロイドA(SAA)に関する検討はいまだ少ない.そこで,今回我々は,高コレステロール血症患者のSAAを測定し,頚動脈病変との関連及びHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)による治療効果を検討した.【方法】検診で高コレステロール血症を指摘された患者(H-chol群)および正脂血症(Control群)を対象とした.一部にスタチンを投与し,治療前後の血清脂質値および血清アミロイドA,高感度CRP値,内膜中膜肥厚度(IMT)を比較した.【結果】(1)H-chol群では,血清アミロイドA値と高感度CRP値のいずれも,対照群に比し有意に高値であった(SAA:5.53±4.59vs.4.10±3.43μg/ml,p<0.05;hs-CRp:0.97±0.70vs.0.60±0.60mg/L,p<0.01).(2)スタチン治療をした高コレステロール血症群(HC-St群)と対照群を比較すると,HC-St群では73.7%,Control群では13.4%の頚動脈肥厚病変(maxIMT1.1mm以上もしくはプラークが存在)を認めた.また,HC-St群のmaxIMTは,Control群に比し,有意に高値であった.(maxlMT:0.97±0.70vs.0.60±0.60mm,p<0.01).(3)HC-St群42名におけるスタチン治療前後での比較:スタチン治療前後で,TC-24.6%,LDL-C-32.4%,TG-19.2%の有意な低下を認めた.HDL-Cは有意な変化を認めなかった.また,血清アミロイドA値は有意に低下し,高感度CRP値は低下する傾向を認めた.さらに,頚動脈病変を持つ場合に血清アミロイドA値は低下する傾向を示した.また,血清アミロイドA値が8μg/ml以上と高い群および高感度CRP値が1.Omg/L以上と高い群では有意な低下を認めた.【考察】高コレステロール血症患者において,血清アミロイドA及び高感度CRPは有意に増加し,頚動脈肥厚は対照群に比して重度であった.血清アミロイドAと頚動脈肥厚の重症度との関連はないものの,血清アミロイドAや高感度CRPの基礎値の高い患者など,慢性炎症を基盤とする動脈硬化症のリスクが高い患者では,スタチン治療が血清アミロイドAを有意に低下させ(p<0.05),頚動脈肥厚患者でも低下する傾向があった(p=0.06).血清アミロイドAを指標とする高コレステロール血症患者へのスタチン治療が,その脂質低下作用に加え,抗炎症作用を介し,動脈硬化の予防と抑制に有用である可能性が考えられた.}, pages = {571--581}, title = {高コレステロール血症における血清アミロイドAと頚動脈硬化症に関する臨床的研究 : 慢性炎症に及ぼすスタチンの効果について}, volume = {121}, year = {2007} }