@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00011050, author = {石井, 秀明}, issue = {9}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Sep}, note = {デクスメデトミジンは静脈内投与によって鎮静作用と鎮痛僅用が得られるα_2受容体作動薬であり, 近年, 特に集中治療領域で臨床使用されはじめた. 従来, α_2受容体作動薬としてクロニジンが臨床使用されてきたが, クロニジンはその投与量が増すほどα_1受容体作用が生じてしまうという欠点があった. しかし, デクスメデトミジンのα_2受容体への選択性は極めて高い(クロニジンの約8倍)ため, デタスメデトミジンによってより副作用の少ない有効な鎮痛効果が得られる可能性がある. これまで, デクスメデトミジンはクロニジンと同様に, 脊髄腔内や硬膜外投与にて良好な鎮痛効果が得られたとする報告がある. しかし, 神経細胞レベルでデクスメデトミジンの脊髄内での作用機序についての詳細な報告はみられない. そこで, 痛覚情報の伝達に重要な役割を担っている脊髄後角でデクスメデトミジンがどのように作用し, その痛覚情報を制御しているのかを明らかにするため, 脊髄後角第II層(膠様質)細胞におけるデクスメデトミジンの作用について電気生理学的手法を用いて調べた. Wistar系雄性ラットから腰仙部脊髄を切りだし脊髄横断スライス標本を作成して, Krebs液で灌流した. スライスの下部から透過光で観察すると, 膠様質は後角において明るい細胞帯として視認できた. 膠様質細胞からブラインド法によるホールセルパッチクランプ記録をおこなった. デクスメデトミジン灌流投与によって, ほとんどの細胞で外向き電流を誘起した. 0.1から30μMの濃度範囲において, 濃度依存性にデタスメデトミジン誘起膜電流は増加し, EC_<50>は0.62μMであった. 誘起膜電流は, α_1受容体拮抗薬プラゾシンで抑制されず, α_2受容体拮抗薬ヨヒンビンで抑制された. さらに, α_<2A>受容体作動薬オキシメタゾリンによってデクスメデトミジンと同様に外向き電流が誘起された. 保持膜電位が-90mV以上で外向き電流が誘起され, -90mV以下で内向き電流が誘起され, 約-86mV付近でその極性が逆転した. 電極内液にG蛋白質活性阻害薬またはK^+チャネル阻害薬を用いたところ, デクスメデトミジンの外向き電流は認められなかった. 本研究の結果から,デクスメデトミジンは脊髄後角の膠様質においてシナプス後細胞のα_2受容体に結合し, G蛋白質を介してK^+チャネルを開口させることによって外向き腫電流(過分極)を誘起することが明らかとなった. このようにして膠様質細胞の興奮性を抑制することによって痛覚情報は上位中枢に伝達されなくなり, 鎮痛効果を生じるものと考えられる.}, pages = {506--513}, title = {ラット脊髄膠様質ニューロンにおけるデクスメデトミジンの作用}, volume = {122}, year = {2008} }