@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010867, author = {佐藤, 俊哉}, issue = {1}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Jan}, note = {歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)は常染色体優性遺伝形式をとる脊髄小脳変性症の一つで, 染色体12p13.31領域のDRPLA遺伝子内に存在するCAGリピートの伸長により発症する. CAGリピートの伸長はDRPLA を含む9つの疾患(ポリグルタミン病)でも同様に認められ, 遺伝性神経変性疾患の普遍的な発症機構であることが推定されている. ポリグルタミン病の特徴として, 体細胞・生殖細胞系列におけるCAGリピートの不安定性, すなわちリピート数の変動が知られ, この不安定性が疾患発症機構, 世代間で発症年齢が加速される表現促進現象, 臨床像の多様性などに密接に関与していると考えられているが, 不安定性を獲得する機序は不明である. この不安定性機構を解明するため, 患者由来の変異型DRPLA遺伝子全長を単一コピーで有するトランスジェニックマウス(Q76マウス)を作成し, 世代間でのCAGリピート数の変化(生殖細胞系列の不安定性)および体細胞モザイクを解析した. 世代間でリピート数が変化した仔の割合は, 雄由来の仔で短縮1.4%, 伸長6.5%, 雌由来の仔で短縮27%であった. その平均変化量は, それぞれ0.043±0.020, -0.36±0.043で, 親の性別による不安定性の相違(parental bias)を認めた(P<0.001). また世代間の変化量は親の年齢増加に伴い直線的に変化し(9-36週齢), 雄由来の仔では正(rs=0.16, P<0.05), 雌由来の仔では負の相関(rs=-0.29, P<0.001)を示した. 次に64週齢の個体について各臓器のリピートサイズ分布を調べたところ, 各臓器において体細胞モザイクの存在を認めた. 特に小脳ではリピ-トサイズ分布が74-77, 大脳では74-80とモザイクの程度が小脳で軽い傾向であった. 年齢との相関を確認するため, 3週齢の個体, 同一個体の尾DNAを比較した結果, 体細胞モザイクが年齢増加に伴い進行することを確認した. さらに2000匹以上のQ76へミ接合体マウスを解析したところ, 体細胞モザイクの一つとしてCAGリピートの著明な変化(76から129リピート)を発見した. この雄モザイクマウス(Q76/129モザイク)を用い, 世代間での変化を超高齢期(122週齢)まで検討した結果, Q76仔およびQ129仔マウスともに, CAGリピート数の分布範囲は親の年齢に依存して常に増大するものの, 50週齢以上では平均変化量としての増大はない, すなわち老年期では伸長と短縮が結抗していることを発見した. 推論の段階ではあるが, 年齢依存的に伸長または短縮させる機構が独立に存在し, 生殖細胞および体細胞内で徐々に変異が蓄積することが年齢依存的変化の本質と考えられ, 伸長と短縮のバランスにより, parental biasや老年期の変化等の一見複雑な現象が説明可能であった.}, pages = {9--21}, title = {変異型DRPLA遺伝子全長を導入したトランスジェニックマウスによるCAGリピートの年齢依存的変化と不安定性機構の解析}, volume = {123}, year = {2009} }