@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010766, author = {阿部, 亮}, issue = {4}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Apr}, note = {【目的】パニック障害 (Panic Disorder: PD) は, パニック発作に代表される様々な自律神経症状の嵐を呈するため, その病態には自律神経系 (Autonomic System: AS) の機能異常が想定されている. これまでのPDの自律神経機能異常の研究において, 結果は必ずしも一致していない. その理由の1つに, ASはホメオスターシス (生態恒常性) を保つためのもので, 非常に複雑かつ個人差も大きく, 様々な状況によって変勤しやすいことが挙げられる. 一方, PD患者はストレスに代表される感覚情報の処理過程に問題があることが分かっている. そこで今回我々は, 精神負荷を与えた際の心血管系及び内分泌系の変化を, 新たな手法を用いて検討した. 【研究1】PD患者における心血管系調節異常に関する研究 心血管系の自律神経反射の1つである血圧反射の機能を評価するために, 血圧と心拍数という2変数間の関係性に着目し, 血圧変動から心拍変動までの相互相関係数の最大値であるρmaxを用いて, 血圧反射の調節を連続的に評価した. 血圧と心拍数の相互の関係が安定しているほどρmaxが高くなり, 何らかのストレス状況下ではρmaxが低下する. 対象は寛解期のPD患者16名と健常対照者 (Normal Control; NC) 20名とし, ビデオ映像視聴や安静など測定状況を変化させρmaxを測定した. その結果, PD群はNC群に比較してρmaxが有意に低いことが示され, 寛解期のPD患者であっても血圧反射の調節異常が存在することがわかった. 【研究2】PD患者における内分泌系調節異常に関する研究内分泌系の調節機能を評価するために, 非常に弱い精神負荷を与えた際の唾液中ストレスマーカーの測定を行った. 対象は, 寛解期のPD患者18名とNC20名として, 精神負荷前安静時, 精神負荷直後, 精神負荷10分後の唾液中ストレスマーカーの測定を行った. 精神負荷には内田クレペリン試験を用い, ストレスマーカーとして, 唾液中アミラーゼと唾液中クロモグラニンAを用いた. 結果は, PD群では唾液中アミラーゼが, NC群よりも高かった. PD群では, NC群では反応しないほど非常に弱い精神負荷においても唾液中のストレスマーカーの変動がみられ, 内分泌系における調節異常が存在すると考えられる. 【まとめ】2つの研究より, 寛解期のPD患者においても心血管系や内分泌系の調節異常が存在し, これらは主に交感神経系の調節異常に基づくものと思われる. さらに本所見は, PDに関するtrait biological markerあるいはエンドプェノタイプとしての可能性を示唆するだけでなく, PDの慢性経過や再発率の高さ等の臨床的に重要な問題とも関連しているかもしれない.}, pages = {170--180}, title = {寛解期のパニック障害患者を対象とした自律神経系調節異常に関する研究}, volume = {123}, year = {2009} }