@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010478, author = {礒田, 学}, issue = {2}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Feb}, note = {鉄は様々な臓器において重要な生理的機能に関与しているが, 最近, へプシジンというペプチドホルモンが鉄の恒常性において中心的な役割を示すことが明らかにされた. このホルモンは抗菌作用を持ち, 炎症性サイトカインであるIL-6や鉄過剰によりその発現が増強し, フェロポルチンとの結合を介して鉄の細胞外への排出を抑制することが報告されている. 心臓中にも, ある条件下でへプシジンの発現が増強するとの報告があるが, 心臓病におけるその発現の変化に関してはほとんど知られていない. 今回私は, 心筋炎あるいは心筋梗塞の心臓でへプシジンの発現がどのように変化するかを検討した. ラット自己免疫性心筋炎およびラット心筋梗塞の心臓を, ランゲンドルフ還流装置にてコラゲナーゼ処理した後, 心筋細胞, 非心筋細胞を金属篩にて分離精製し, へプシジンの遺伝子発現を定量的RT-PCRで測定した. さらにヒト心筋炎の心臓でへプシジンの発現が増加するかを検討した. 統計解析は one-way ANOVAと Bonferroniの多群間比較検定あるいは対応のないt検定を用いた. ラット心筋炎および心筋梗塞において, へプシジンは心筋細胞にのみ発現していた. また, フェロポルチンは心臓中の様々な細胞で発現が認められた. へプシジンは, ラット心筋炎および心筋梗塞の心筋細胞において早期に100倍以上発現が増強し, IL-6の発現との関係をみると, 強い正の相関が見られた (EAMr =0.781, p <0.0001; AMIr =0.563, p =0.0003). それに対して, BNPの発現とIL-6の発現との関係については, 心筋炎および心筋梗塞いずれも有意な正の相関を認めたものの, へプシジンよりも小さい相関係数を示した (EAMr =0.516, p =0.0052; AMIr =0.387, p =0.019). また, ヒトの心臓では, 心筋炎のない症例群に比し心筋炎のある症例群で有意にヘプシジンの発現が増強していた (0.0400±0.0195 vs O.0032±0.0017, p =0.0045). それに対して, BNPの発現については両群間で有意差は無かった (58.5±24.1 vs 42.3±21.4, p =0.68). 以上の結果から, へプシジンは心筋炎および心筋梗塞の心筋細胞で有意に発現が増強しており, その発現は炎症性サイトカインであるIL-6により誘導された可能性があると考えられた. このことは, 障害を受けた心臓において, へプシジンがフェロポルチンを介して鉄の分布に影響を及ぼしている可能性を示唆し, へプシジンは心臓での鉄の恒常性に重要な役割を担っている可能性があると考えられた.}, pages = {76--88}, title = {心筋炎および心筋梗塞の心筋細胞におけるヘプシジン遺伝子発現の検討}, volume = {124}, year = {2010} }